【日本代表|エリア別検証】安泰ではない香川のトップ下。危機感を煽る意味では、吉田外しを断行しても良い

2015年10月14日 五十嵐創(サッカーダイジェスト)

CF&ウイング|武藤はそれなりに株を上げたが、宇佐美は…

前線3枚の左で先発した宇佐美だが、期待外れの出来に。守備面での貢献度も低く、“計算できる選手”ではない。写真:滝川敏之(サッカーダイジェスト写真部)

 岡崎に代わって先発した武藤は、それなりに評価を上げたと見ていいだろう。後半に関して言えば、本田のクロスに合わせた同点ゴールだけでなく、カウンター時には真っ先に裏のスペースを狙ってボールを引き出していた。58分にGKとの1対1を迎えたシーンが象徴するように、純粋なスピードと相手DFの背後を取るセンスは非凡で、カウンター時の迫力はすでに岡崎以上だ。
 
 もっとも、総合力という点では物足りなさも残る。アグレッシブなプレスを受けて劣勢に立った前半は、どこでボールをもらいたいのか迷いが見られ、曖昧な動きに終始していたからだ。スペースがない時の動きは課題で、ポストワークや遅攻時の飛び出しは、今後磨かなければならない部分だろう。
 
 複数の選手が試されたウイングは、宇佐美が株を下げたと言わざるを得ない。サイドでタメを作れずに、中央に入ってはボールを失うなど、明らかにブレーキになっていた。激しいプレッシャーを受けた時こそ、持ち前の個人技で攻撃を牽引すべきだったが、完全に期待外れ。前半の終盤には自らシュートに持ち込めそうな場面で横パスを選択するなど積極性も欠けていた。
 
 そもそも守備面での貢献度が低い宇佐美に "計算できる選手"というイメージはない。攻撃面でも結果を残せないのであれば、先発起用はリターンの少ないギャンブルになってしまう。少なくともイラン戦でのパフォーマンスから判断すれば、レギュラー獲りは遠のいた印象で、これまでの多くの試合と同じようにスーパーサブとしての起用が続くかもしれない。
 
 初招集の南野は、判断材料が少なく、なんとも言えないところだ。右ウイングとして88分から出場したものの、あまりにプレータイムが短く「ボールに触っていない」(南野)。プラス要素はA代表の雰囲気を肌で感じたことくらいで、プレー面の確認については次回以降に持ち越しだ。

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