【天皇杯決勝プレビュー|甲府】格上相手ならアラートさはより高まる。焦点は最初の15分。無失点で乗り切れれば――

2022年10月15日 サッカーダイジェストWeb編集部

リーグ戦では苦戦も内容は悲観するものではない

J1勢を連破して決勝に駒を進めた甲府。「J1で一番強い」(吉田監督)と警戒する広島が相手でも“番狂わせ”を起こせるか。写真:徳原隆元

[天皇杯決勝プレビュー]甲府対広島/10月16日/日産スタジアム/14:00キックオフ

 天皇杯の決勝はクラブにとって新しい歴史を刻む舞台。だが、戦うだけで満足することなく、J1勢4チームを撃破した勢いのまま初タイトル獲得を狙う。

 J2では7連敗、11戦勝ちなしの18位と低迷。ただ天皇杯では札幌、鳥栖、福岡、鹿島を破ってきた。リーグ戦で結果こそ出ていないが、内容は悲観するものではなかった。

 ビルドアップは安定してプレスを外し、相手ゴールに迫る場面も複数回、作り出せている。結果が出なかった要因は、ゴールを決め切る、守り切るという勝敗を決する部分で出た脆さ、一瞬の緩さで、格上との対戦となる天皇杯はその部分のアラートさが自然と高まって結果につながっている。

 決勝でもリーグ戦でできている戦いを発揮することが大事で、それがJ2ながら決勝まで上がれた理由を示すことになるだろう。
 
 吉田達磨監督は、ファイナルの相手となる広島について「今、J1で一番強いんじゃないかと感じる。迷いがなく、前線のプレスが強力で、攻撃も守備もチャレンジしている。目ざしたくなるチーム」と語る。

 甲府がプレスを受けて腰が引ければ、苦しくなるのは明白。決勝の雰囲気も相まって後手に回り続ける展開に陥る。相手のプレスの矢印を少しでもずらし、背後を見せて勢いをそぐ。

 ライン間や選手間にポジションを取ってボールを運ぶという、この1年間で築いてきた戦いができれば、勝利の可能性は少しずつ膨らむはずだ。

 そのうえで試合の中で必ずある相手ペースの時間帯に崩れずに戦えるかは重要。準決勝の鹿島戦では、つなぐ時と蹴り出す時の選択をはっきりとし、全員が意思統一を図って戦えていた。
 

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