川崎は大逆転優勝を果たせるのか。鬼木達監督や選手たちが示す“奇跡”を起こす道筋

2022年10月13日 本田健介(サッカーダイジェスト)

ホームでの2連勝で首位の横浜とは勝点2差に

優勝への望みをつないだ川崎。鬼木監督の下で最後のスパートをかけている。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

[J1第25節]川崎3-1京都/10月12日/等々力陸上競技場

 10月1日のアウェー札幌戦に敗れた時点で、残り4試合で首位の横浜とは勝点8差。数字上は逆転優勝の目は残していたが、悲願のリーグ3連覇は非常に厳しい状況だと誰もが理解していた。

 それでも、自らを諦めの悪い男と言う鬼木達監督は呼びかけた。

「可能性がある限り戦おう。奇跡を信じよう」

 そこからのホーム2連戦。川崎は苦しみながら連勝を果たしてみせた。10月8日の清水戦は一時、逆転を許すも再逆転での劇的な展開でなんとか勝ち切る。そして12日の京都戦も3-1で制してみせた。

 怪我人が続いており、台所事情は苦しい。ここ2年は圧巻の成績でリーグ連覇を成し遂げたが、今季を象徴するかのように、この2試合も盤石な試合運びとは言えなかった。それでも優勝への想いを強く感じさせる2試合でもあった。

 首位の横浜がホームで"まさか"の連敗を喫したことで、残り2試合で勝点差は「2」へと縮まった。しかし、得失点差は「9」。勝点で並んだとしても追い抜くことは難しく、実質川崎は横浜より勝点「3」を多く上積みするしかない。残り2戦で川崎は連勝し、横浜が一敗、もしくは2引き分けをするシチュエーションを願うしかない状態だ。

 そう考えると、ここからの逆転優勝はやはり"奇跡"に近いと言えるのだろう。

 それでも今の川崎は、その"奇跡"を本気で信じている。起こすための道筋を指揮官がしっかり示してくれているからこそだ。鬼木体制1年目、2017年の大逆転での悲願のリーグ制覇を知る小林悠も力強く語る。

「初優勝の時もオニさん(鬼木監督)が言っていたことが現実になったので、なんだか妙に説得力があるというか。選手たちも"オニさんが言っているから"という感覚と言いますか、僕はそれがある。今年も前節、前々節くらいからオニさんがそういう話をしていて、そうだなと。自分たちが信じないで本当にどうするんだと。その結果、段々良い方向に、まだ厳しい状況に変わりはないですが、可能性が少しずつ増しているので、オニさんの言葉を信じて1試合1試合やっていくだけだなと思います」
 
 では奇跡を起こすために何が必要なのか。指揮官に訊けば、こう答が返ってくる。

「やはり奇跡は信じた人にしか起きないのかなと。信じ続けられるかどうか、疑わずと言いますか。やっぱりそれは他への期待ではなく自分たちへの期待、それしかないと思っています。

 純粋に信じ続けることができた時に、いろんな雑念と言いますか、いろんなものが排除されて研ぎ澄まされて、それがひとつの自分たちの結果でしかないんですが、でもその結果が、何か影響を与えるようなインパクトを残す。それがつながっていくのかなと思います。

 だから本当に自分たちは目の前の1試合を圧倒したり、すごく感動するものを見せることによって、何かいろんなものを巻き込んでいけんるんじゃないかなと、それを信じてやっているところです。

 やっぱり信じ続ける人、チーム、そしてつながり、奇跡とはそういうモノにしか訪れないのかなと思っているので、最後の最後まで疑うことなくやり続けたいですね」

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