エクアドル戦で長友佑都は真価を証明できるか。中山雄太、伊藤洋輝を含めた三つ巴の左SB争いの行方

2022年09月26日 元川悦子

求められるのは、隙のない守備

アメリカ戦は出番がなかった長友。先発が有力視されるエクアドル戦で“世界基準”の仕事ぶりを示せるか。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

 11月23日のカタール・ワールドカップ(W杯)初戦・ドイツ戦まで2か月を切り、森保一監督が率いる日本代表に残された強化の場も、9月27日のエクアドル戦と、11月17日のカナダ戦の2試合のみとなった。

 とりわけ、エクアドル戦はメンバー発表前最後の一戦ということで、23日のアメリカ戦(2-0)に出られなかった面々にしてみれば鼻息が荒くなる。爪痕を残そうとギラギラさせているはずだ。

 フィールドプレーヤー最年長の長友佑都(FC東京)もその1人。日本からの長距離移動で合流が1日遅れ、その影響もあって、ベテランSBはアメリカ戦で控えに回った。

 今夏にイングランド2部へ移籍した中山雄太(ハダースフィールド)の一挙手一投足を見守ることになったわけだが、試合は相手を高い位置からハメる守備がうまく機能して完封勝利。長友もこの結果を前向きに喜んだ。

「前回、良かったのは全員でしょう。全員が前から連動していたから良かった。この人、というのはないんじゃないかな。みんなが迷いなく、クリアな状況で自分の仕事ができていた」と、とにかくポジティブだった。

 とはいえ、最終予選10試合中9試合で先発した長友としては、このまま中山に左SBのポジションを明け渡すわけにもいかない。アメリカ戦の後半から左CBで出場した伊藤洋輝(シュツットガルト)も左SB要員として控えているだけに、ここは世界基準の仕事ぶりを今一度、示さなければならない。

 さしあたって、長友に求められるのは、隙のない守備。アメリカ戦の開始早々には、相手右インサイドハーフのルカ・デラトーレに深い位置まで侵入され、さらに8分には右SBのセルジーノ・デストに決定的なクロスを上げられるなど、序盤の日本は左サイドで相手の攻撃を簡単に許していた印象があった。
 
 その後、中山と久保建英(R・ソシエダ)が修正を図り、引き締まった守備ができるようになったが、不安定な入りをしていたら、W杯のドイツ戦ではアッサリ失点してもおかしくないのだ。

 そのあたりの厳しさを長友は身を持って体験しているから、周りに声をかけ、自らも徹底したマークができるはず。6月のブラジル戦で右SBとして出場した際も、時折マッチアップするネイマールに身体を寄せ、間合いを詰めながら縦に行かせないタフなマークを見せていた。

 それだけの高度な経験値は、中山にはまだない部分。世界レベルになればなるほど、長友は凄みを増す。それをエクアドル戦で見る者に再認識させることが、4度目の本大会でのスタメンにつながる。

 日頃、戦っている舞台がJリーグというのは、激しいイングランド2部やハイレベルなブンデスリーガ1部に比べると、やや見劣りするものの、そのマイナス面を払拭するような統率力と牽引力、個の強さを示してくれれば問題ない。
 

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