ワールドカップ仕様へ。6月の惨敗からアメリカ戦の快勝へ森保ジャパンは何が変化したのか【編集長コラム】

2022年09月24日 本田健介(サッカーダイジェスト)

手応えを得られる一戦に

カタール・ワールドカップに向けた強化試合としてアメリカ戦に臨んだ日本代表。攻守で収穫が見られた。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

[キリンチャレンジカップ]日本 2-0 アメリカ/9月23日/デュッセルドルフ・アレーナ 

 ここまでハマった試合も久しぶりなのではないか。

 11月末に開幕するカタール・ワールドカップへもう時間がないなか、ドイツ遠征を行なっている森保ジャパンは9月23日、強化試合の2連戦の一戦目となるアメリカ戦に臨んだ(27日にはエクアドルと対戦する)。

 アジア最終予選の途中に組み入れた4-3-3がメインシステムになっていた森保ジャパンだが、20日のトレーニングで試していた4-2-3-1をこの試合では選択。

 4-2-3-1はチーム立ち上げから4-3-3に変更するまで長い期間、使い続けたシステムであり、好調の鎌田大地をトップ下に据えてアメリカ戦へと臨む決断を森保一監督は下したのだ。

 GKは権田修一、最終ラインは右から酒井宏樹、吉田麻也、冨安健洋、中山雄太、ダブルボランチは遠藤航、守田英正、2列目は右から伊東純也、鎌田大地、久保建英、CFは前田大然という並び。

 良い守備から良い攻撃へ。森保監督がよく口にする言葉だが、まさにこのテーマを表現した形と言えるだろう。

 最前線の前田はスプリントを繰り返して前線からプレスをかけ続け、呼応するかのように久保、伊東、鎌田、そしてボランチの遠藤、守田も相手をハメにいく。そして奪えば、テクニカルな鎌田、守田を起点に的確でシンプルなパスでチャンスを作り出す。

 日本のやりたい形が高い割り合いで表現できた前半となり、25分には2度の決定機をモノにし切れなかった鎌田が守田のアシストから先制ゴールも決めてみせている。アメリカのパフォーマンスはあったにせよ、高い手応えを得られる前半になったはずだ。
 
 後半はアメリカが形を変えてきたなか、序盤こそ上手くいかない時間もあったかが、柔軟に対応し、相手の反撃をいなしながらゲームを進め、86分の途中出場の三笘薫のゴールへつないでいる。

「6月の活動は大きかったのかなと。ああやって上手くいかなかったというのはあって、その現象に対してどうするか、選手たちも危機感を持ちながら今回の合宿に臨めているので、そこはポジティブに感じています」

 そう語るのはボランチとして中盤を仕切る遠藤航だ。

 6月、国内で4つの強化試合を行なったチームはブラジルに敗れるなど2勝2敗。特に最終戦のチュニジア戦を0-3で落とした際には、改めて"共通認識"の深化が叫ばれていた。

 それでも今回の活動では、欧州で経験を積み様々な戦術を吸収してきた若手選手たちの積極的な意見を、キャプテンの吉田麻也や遠藤が吸い上げて考えを擦り合わせてきた。

 3大会連続でワールドカップに出場している長友佑都も「大事なのはナーバスにならないことで、緊張感は半端ないですが、若い選手からすごく意見が出ている。そのディスカッションができているのは、すごく良い時間ですし、緊張感のあるなかで話し合っている。今までの代表ではこれだけ意見を言い合える関係性はなかったのかなと。こういうプレスをかけたいとか、こういうプレーをしたいとか、若い選手もベテランの選手も言ってくるし、より繊細に詰められているのかなと思います」と振り返る。

 遠藤も「いろんな意見があるなかで、ようやく最終予選でいろんな意見を出し合いながらやっているなかで、成立されつつあるのかなと。意見を出し合っている結果が上手くハマりつつあるのかなと。そこは継続していきながら僕や(吉田)麻也さんらが上手く若い選手の意見をコントロールしながら、やっていければチームとして良くなるのかなと思います」と展望を語る。

 

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