「ヤットさんは遊び球を使って…」磐田内定の植村洋斗が歴戦のボランチから学んだこと。プレーの緩急に刺激「本当に凄い」

2022年09月22日 安藤隆人

攻撃のスイッチを探し、見つかった瞬間、一気に仕留めにかかる

2年後の磐田内定を勝ち取った早稲田大3年の植村。緩急の合間に見せるインテリジェンスと大胆さを武器とする俊英ボランチだ。写真:安藤隆人

 高校時代から賢い選手だなという印象を受けていた。

 早稲田大で3年生ながらも、2024年シーズンからのジュビロ磐田内定を発表したMF植村洋斗。彼は前に出てくるタイミングが秀逸で、かつ強度を持って攻撃に関わることができる選手だが、その激しさとは裏腹に非常にクールだ。

 表情をあまり変えないで、全体の様子を見渡しながら、攻撃のスイッチを探し出し、見つかった瞬間にアグレッシブなプレーにスイッチを入れて、一気に仕留めにかかる。

 日大藤沢高時代、植村は動きながらボールに関わり続け、攻撃の中枢を担っていた。早稲田大に進学すると、プレーに緩急が加わった。

 アグレッシブな姿勢は持ち続けながらも、落ち着かせるべきところではボールをゆっくりキープしたり、テンポダウンを狙ったパスを出すなど、相手の流れを切るようなプレーが見られるようになった。そして磐田に内定が決まってからは、さらにこの緩急の付け方が絶妙なものとなっていた。
 
 9月17日の韓国大学選抜との日韓定期戦、20日の本田圭佑率いるU-23カンボジア代表との親善試合に臨む全日本大学選抜、U-23日本代表にも選出。韓国学生選抜戦(延長戦の末2−3)では熊澤和希(流通経済大、柏レイソル内定)とダブルボランチを組んでスタメン出場し、カンボジア戦(3-1)では途中出場した。

「大学選抜はみんなレベルが高いので、ここで僕が何ができるか、どういう違いを出せるのかを常に意識してやっています。自分の中で『違い』とは、ボールを持った時に相手を一枚剥がして、中盤からボールを運んでいく能力や、最後のパスのアイデア。そこはずっと大切にしている部分です」

 韓国に出発する前の合宿で植村はこう口にしていた。その際に彼は早々に磐田内定を決めた理由と、自身のプレーの緩急について語ってくれた。

「早めに決めた理由の一番は、純粋にジュビロでプレーしたいと思ったからです。それ以外ですと、僕もパリ五輪世代なので、そこ(パリ五輪)を目ざすとなった時に、早い段階でプロの世界で活躍することが重要だと思ったのもあり、決断しました」
 

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