全身全霊をかけたプレーに賞賛の拍手。柏の北爪健吾が川崎戦で示した“自分にしかできないこと”

2022年09月19日 鈴木潤

最終ラインの人手不足で巡ってきたチャンス

最大のストロングポイントは爆発的なスピード。北爪の推進力あるプレーがチームを奮起させる起爆剤に。写真:徳原隆元

[J1第30節]柏1-1川崎/9月17日/三協フロンテア柏スタジアム

 川崎戦を迎えるまで5試合連続勝ち星なし。その間の失点は16と、快進撃を見せた前半戦とは裏腹に、終盤戦に来て柏は不振に喘いでいた。

 前節の浦和戦も守備が破綻し、4失点を献上しての大敗(1-4)。しかも守備陣の要である高橋祐治はFC東京戦の脳震盪により欠場中、7月のE-1選手権で日本代表に招集された大南拓磨が今節は出場停止、期待の大器と評される田中隼人はU-19日本代表で不在と、最終ラインの人手不足も深刻だった。

 そんなチーム事情も相まって、北爪健吾にチャンスが巡ってきた。今季はルヴァンカップでこそ先発起用の機会はあったが、リーグ戦では4試合と出場機会が限られており、いずれも途中からの出場だった。

 今季初めて巡ってきたチャンスに、川崎戦を控えたトレーニングで北爪は思いのたけを語った。

「今年はリーグ戦での先発出場はないけど準備はしてきました。それを口ではなくプレーで示したい。このチャンスを活かすためにやってきたので、楽しみにしてもらえたらと思います」

 実は、北爪には過去にも同じような経験がある。柏移籍1年目の2020年。シーズン序盤戦に得た出場のチャンスで爪痕を残せず、しばらくはメンバー外となる苦しい日々を過ごしていた。
 
 ただ、ルヴァンカップで結果を残すことで自分の立ち位置を変え、シーズンの後半戦はレギュラーポジションを獲得した。

「2年前も悔しい思いをしたからこそ結果を出して成長できました。しっかり原点に返って、スピードでは負けているわけではないので、川崎という強い相手に対してどうやって臨むか。ここは意地を見せたいと思います」

 失いかけていた自信を取り戻すきっかけとなったもの、それは北爪の最大のストロングポイントである爆発的なスピードだ。今季のプレーを振り返り「スピードという一番の武器を出せていなかった」と自分自身を見つめ直した。

 そこで「この年齢(30歳)でもスピードがあるというのは恵まれたことで、当たり前ではない。自分にしかできないところを出さないといけない」と考え、「守備は攻撃のためのもの」と発想を転換させた。
 

次ページ2年前と同じように立ち位置を変えられるか

みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事