策はいっさい奏功せず…“泣きっ面に蜂”のドルトムントは大敗――バイエルン 5-1 ドルトムント

2015年10月05日 遠藤孝輔

香川は見せ場なく後半早々に交代、チームは何の収穫もなく…。

 首位バイエルンが本拠地アリアンツ・アレーナに2位ドルトムントを迎えたブンデスリーガ8節の天王山は、ホームチームが怒涛のゴールラッシュを披露。5-1という衝撃的なスコアで、開幕8連勝のリーグ新記録を樹立した。
 
 対するドルトムントは、今シーズン初黒星。公式戦16試合目で、ついに土がついた。
 
 ドルトムントの出足は決して悪くなかった。4分、オーバメヤンがDFライン裏に飛び出し、高い位置でFKを獲得する。
 
 その11分後には、中盤でボールを奪ったムヒタリアンがそのままドリブルで持ち上がり、ペナルティーエリアの最深部まで侵攻。ゴール前へのラストパスをチアゴに防がれたが、鋭い仕掛けで王者の守備陣を脅かした。
 
 しかし、先制点を奪ったのはバイエルンだった。26分、CBボアテングが放った1本のロングパスにいち早く反応したミュラーが、相手DFラインの裏に抜け出し、GKビュルキをかわして無人のゴールにボールを流し込んだ。
 
 そして35分には、あっさり追加点を奪取。20分ほど前に失点の危機を防いでいたチアゴが、今度は敵のエリア内でムヒタリアンに倒されてPKをゲットする。これをミュラーが冷静にモノにして、スコアを2-0としたのである。
 
 その直後に1点差へと詰め寄られるゴールをオーバメヤンに許したバイエルンだが、後半開始直後の46分、再びリードを広げることに成功。またしてもボアテングのロングフィードで敵DFラインを切り裂き、ベンダー、フンメルスとのスピード勝負を制したレバンドフスキが、難なく古巣のゴールを割ってみせた。
 
 バイエルンに4点目を挙げるチャンスが到来したのは55分。飛び出しの判断を誤ったGKビュルキを尻目に、ミュラーがゴール前でフリーの味方にラストパスを送る。しかし、この決定機はゲッツェのシュートミスで活かしきれなかった。
 
 このミスで発奮したのか、ここから"ゲッツェ劇場"の幕が上がる。58分、DFラインとGKの間に素晴らしいクロスを送り、まずはレバンドフスキのこの日2点目をアシスト。66分には、みずから右足シュートをゴール左隅に突き刺し、チームに5点目をもたらした。
 
 次々と失点を重ね、それも元ドルトムントのレバンドフスキとゲッツェにしてやられるなど、まさに「泣きっ面に蜂」だったドルトムント。その敗因のひとつは、ヨーロッパリーグから中2日という強行日程に求められるかもしれない。
 
 ただそれ以上に、ボールポゼッションで上を行くチームと対峙した際に、守備で踏ん張り切れない課題を露呈した印象だ。
 
 D・コスタ対策として1対1の守備に強いCBパパスタソプーロスを右SBに据えたほか、消える時間が長かった香川とカストロを下げ、ロイスとヤヌザイを早いタイミング(53分)で同時投入したトゥヘル監督の抜擢・采配は功を奏さなかった。
 
 ほとんど収穫がないままに敗れ去ったドルトムント。これでバイエルンとの勝点差は、今シーズン最大の7に広がった。
 
文・遠藤孝輔
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