ポッター監督の電撃退団で“切り札”三笘薫への影響は? 序列が上がる可能性もあれば、その逆もありえる【現地発】

2022年09月11日 田嶋コウスケ

ポッター監督、5人のコーチ陣らが突然の退団

三笘が信頼を寄せるポッター監督の突然の退団。現在4位と好調のブライトンは大きな岐路に立たされている。(C)Getty Images

 ブライトンのグレアム・ポッター監督の電撃退団が決まった。

 ブライトンはポッター監督がクラブを離れ、チェルシーの指揮官に就任すると8日に発表した。2019年5月から指揮を執るイングランド人監督は、今年で在任4年目。今季は6試合を消化し4勝1分1敗の4位と好スタートを切ったが、チェルシーの引き抜きにより突然の退団となった。

 もちろん、今季からブライトンに復帰している日本代表MF三笘薫にも大きな影響が出てくる。川崎フロンターレでの活躍に目をつけ、獲得を決めたのはポッター監督に他ならない。昨シーズン、ベルギーのユニオン・サン=ジロワーズにレンタルで在籍した25歳を、「手元に置きたい」と今シーズンからチームに復帰させる決断をしたのも、47歳の指揮官だったという。

 三笘が「監督には自分のプレーを理解してもらっている。他の選手にも特徴を伝えてくれている」と語るように、日本代表アタッカーの理解者であった。

 しかも、ポッター監督の右腕として働く5人のコーチングスタッフも合わせてチェルシーに移った。リストを確認すると、アシスタントコーチのビリー・リードを筆頭に、選手からの信頼の厚いクラブOBのブルーノも退団。中堅ながら4位と好発進をしたにもかかわらず、現場を取り仕切るコーチングスタッフが一新するという異常事態となった。
 
 なかでも、選手補強でスカウティング業務を担ったカイル・マコリーの退団は、ポッター監督の移籍に匹敵する痛手となる。

 今夏の移籍市場でチェルシーに売却されたDFマルク・ククレジャを始め、トッテナムに引き抜かれたMFイブ・ビスマ、そして三笘も、このマコリーが中心となって発掘した。現スカッドを見ても、英紙『タイムズ』が「ビッグクラブにステップアップする準備ができている」と評するように、MFモイセス・カイセド(エクアドル代表)、アレクシス・マカリスター(アルゼンチン代表)、エノック・ムウェプ(ザンビア代表)と、さらなる飛躍が期待される逸材が揃う。

 6年前まで2部にいたブライトンは補強資金が限られているが、この36歳の目利きが「ダイヤの原石」を見つけ、安価で獲得することでチームを強化してきたわけだ。

 通常、監督とコーチングスタッフはセットで動くため、チェルシーの引き抜きによりコーチ陣が一斉退団となるのは仕方がない。しかしポッター監督の退団で、ブライトンは強化プランを再構築する必要に迫られた。ポッター監督の就任前はプレミアで残留争いに巻き込まれていただけに、後任人事を含めて大きな岐路に立たされていると言えるだろう。
 

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