【鳥栖】下位対決での敗戦から浮かぶ原点回帰の必要性。ラスト5試合で“鳥栖スタイル”を取り戻せるか

2015年09月27日 本田健介(サッカーダイジェスト)

C大阪の二の舞になる可能性は低いが…。

昨季はACL出場圏内に近づくなど躍進したが今季は下位に低迷。新たに就任した森下監督の手腕も問われる。写真:サッカーダイジェスト

 試合前の年間勝点差は2。13位の鳥栖と15位の甲府の下位対決は、戦前の予想通り、堅い試合となった。ともにシステムは3-4-2-1ながら、多くの時間を5バックで過ごし、失点を回避する展開が続いた。

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 そんななか、より"らしさ"を見せたのが甲府だ。決定機は鳥栖の菊地のミス絡みから奪ったバレーの決勝弾のみだったが、専守防衛に徹しながら、しぶとく勝点を拾った。佐久間監督は「勝つにはこういう戦いしかないと思っていた。プラン通り粘り強く戦えた」と力強く語る。
 
 このゲームを見ていてふと思い出したのが、昨季の31節、C大阪対甲府の試合だ。当時のC大阪は降格圏に沈んでおり、今の鳥栖より逼迫した状況だったが、前年に好成績を残した点、降格の危機から逃れようと順位の近い甲府から勝点3を奪おうとした点は同様だった。
 
 試合はガッチリと守備を固めた甲府が、C大阪の攻撃を撥ね返し続けながら、少ないチャンスをモノにし、敵地で見事に勝点3を奪った。当時、甲府を率いていた城福監督は、「我々にできることを突き詰めてやるしかない」と語り、守備を固めてからのカウンターを徹底し、J1残留を勝ち獲ってみせた。
 
 2年連続で、J1に生き残っている甲府にとって、この戦い方はクラブのアイディンティになりつつあるのだろう。今季は樋口監督を招聘し序盤戦こそ躓いたが、その後は持ち前の堅守再建に成功しV字回復に成功した。立ち返る場所があるチームはやはり粘り強い。

次ページ迷いが露見され、総失点は昨季に比べて激増する。

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