ゲームメイキング能力を問われる一戦に。水沼と仲川には八面六臂の活躍を期待【ACL・R16プレビュー|横浜】

2022年08月17日 藤井雅彦

戦術の幅は広がるどころか限定的に

ACLの外国人枠は3。ベストメンバーを組みにくいだけに、水沼(中)や仲川(右)ら日本人選手のさらなる奮起が必要だ。写真:徳原隆元

[ACLラウンド16プレビュー]神戸対横浜/8月18日/埼玉スタジアム2002/20時KO

 トリコロールがまだ手に入れたことのないACLのタイトル獲得に向けて出航する。

 大一番に向けて主将の喜田拓也は「ここから先はマリノスの歴史上も見たことのない景色になるので、必ず自分たちの力でマリノスの未来を切り拓いていきたいし、その力があると信じている」と語気を強めた。

 横浜はベトナムで開催されたグループステージを4勝1分1敗の首位で通過した。韓国Kリーグの強豪・全北現代と同居しながらのこの成績は称賛に値する。結果だけでなく、内容としても持ち前の攻撃的なスタイルを貫き、アジアの舞台でもひと際存在感を放っていた。

 迎えるラウンド16で相対するのは、同じJリーグの神戸。相手の性質をある程度、把握している反面、戦術や思考はほとんど見透かされていると考えていい。とはいえ相手を見て戦い方を変える気は毛頭ない。自慢のアッキングフットボールで攻守の主導権を握り、ゴールと勝利を目ざすのみだ。

 13日に予定されていた25節・湘南戦が台風8号の影響で開催中止となり、コンディションに余裕が生まれた。10日のルヴァンカップ広島戦からACLラウンド16までの中7日は理想的なスケジュールで、存分に力を発揮できる状態で臨めるだろう。

 ここから先は準決勝まで一発勝負が続き、勝ち進めば中3日、中2日と過酷な連戦が待ち受ける。しかし今の段階で先を見ても仕方がない。「目の前の試合に集中する」と繰り返すマスカット監督の言葉は正しく、一戦必勝を期してベストメンバーで臨む。

 唯一にして最大の懸念は、今大会のレギュレーションにおいて横浜はベストメンバーを組みにくい点だ。
 
 Jリーグの『外国人枠5』に対して、ACLは『外国人枠3+アジア枠1』となる。現在、横浜にはブラジル人選手が6人在籍しており、そのうち3人は必ず試合に出場できない。毎試合セレクトできることで戦術に柔軟性を持たせるという考え方もできるが、それ以上にJリーグで主力を担っていた助っ人を戦力として扱えないマイナスのほうが大きい。

 例えば、最前線にアンデルソン・ロペス、左ウイングにエウベル、トップ下にマルコス・ジュニオールを配した時点で、Jリーグでは切り札としてベンチに置いておけるレオ・セアラを登録できない。あるいはCBとして急速にフィットしつつあるエドゥアルドが不可能になる。戦術の幅は広がるどころか、かなり限定的になってしまう恐れがある。

 ACLのレギュレーションは横浜にとって厳しく、逆風かもしれない。これを杞憂に終わらせるには、日本人選手の発奮が欠かせない。特に宮市亮の長期離脱によってやや手薄になったウイングは水沼宏太と仲川輝人には八面六臂の活躍を期待したい。彼らが得点やアシストといった決定的な仕事をすれば、横浜は優位性を保てる。

 交代のオプションは限られるだけに、先制点を与える展開は避けたい。Jリーグで見せている5枚の交代枠をフル活用する戦い方を踏襲するのは難しく、ゲームメイキングの能力を問われる戦いになりそうだ。

取材・文●藤井雅彦(ジャーナリスト)

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