【リーガ現地コラム】乾貴士が語るリーガ・デビューとまた抜きの真相

2015年09月24日 豊福晋

突然のスタメン起用に気持ちが揺さぶられた。

突然訪れたデビュー戦でいきなりアシストを記録。乾は新天地エイバルで好スタートを切った。(C)Pablo Morano/AFLO

 先発を告げられたのは、試合直前のことだった。
 
 前日練習で先発組に振り分けられたわけでも、前もってホセ・ルイス・メンディリバル監督に伝えられたわけでもない。
 
 乾貴士が夢に描いていたリーガ・デビューは、5節のレバンテ戦(9月23日)でふいにやってきた。
 
「スタメンが発表されたときは、正直ドキドキしました。自分もこんな感じになるんだなと。普段、そうはならないので・・・」
 
 待ち焦がれたデビューだった。フランクフルトから移籍してチームに合流した3週間あまり、スタンドから試合を見続けた。
 
 だから、途中出場すら経験せず訪れた先発のチャンスに、珍しく気持ちが揺さぶられた。試合前のピッチには、入念にアップする乾の姿があった。
 
 3週間という時間は、チームへの適応という意味で貴重なものとなった。
 
 前半に訪れた二度のチャンスは、左サイドのスペースで乾を使おうとするチームの意思が表れたもの。19分までの間に、ペナルティーエリア付近で左から中へ切れ込んでシュートを狙う得意の形を、二度見せている。
 
「味方も自分のいいところは分かっているし、ボールも回ってくる。ちゃんと自分を見てくれているんです。今日は左サイドからの攻めが多めでしたが、その中で点が取れなかったのはショックですし、もっと精度を上げていかないと。シュートの場面は、1本目は巻いたんですがイマイチだったので、2本目はインステップで。いい感じでゲームに入れたし、楽しくできました」
 
 メンディリバル監督は試合前、乾に「左サイドにはれ」と指示を出していた。
 
 トップ下でプレーメイカーを務めるアドリアン・ゴンサレスや、セントラルMFの主将ダニ・ガルシアから左のスペースへ――。
 
 乾がどんな形でボールを受けたいのか、誰もが十分に理解していた。

次ページ「カーニャ」がスペインのテレビやネット上で話題に。

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