【今だから言える15年夏の超極秘話①】ポグバ移籍は実現の可能性が十分にあった!

2015年09月24日 ジャンルカ・ディ・マルツィオ

サラリーの折り合いさえ付いていれば・・・。

15年夏の移籍市場で最大の注目銘柄だったが、結局はユーベに残留したポグバ。ただ、新天地を求める可能性は十分にあった。(C)Getty Images

 今夏の間中、噂レベルではカルチョメルカート(移籍マーケット)の主役であり続けながら、結局は残留したのが、ユベントスのポール・ポグバだ。
 
 しかし水面下では、マスコミに報じられていない動きがいろいろとあったのも事実。表向きユーベは放出の可能性すら否定するという姿勢を貫いていたが、実際には移籍が実現する可能性は十分あった。
 
 その取り引き先はチェルシー。移籍期限まで10日を切ったタイミングで、ポグバはユーベ公認のもと代理人のミーノ・ライオラとともにロンドンを訪れ、チェルシーの強化を仕切るマネージングディレクターのマリーナ・グラノフスカヤと会って移籍交渉を行なったのだ。
 
 もしそこで合意に達すれば、ポグバとライオラはユーベにチェルシー行きを迫り、半ば力ずくででも移籍を実現するつもりでいた。しかし両者は条件面で折り合わず、結局、物別れに終わったのである。
 
 チェルシーが提示した条件は、年俸800万ユーロ(約11億2000万円)の5年契約。一方ポグバ側は、年俸1100~1200万ユーロ(約15億4000万円~16億8000万円)から交渉をスタートし、1000万ユーロ(約14億円)を落としどころと考えていた。
 
 だが、チーム内のパワーバランスを考慮するチェルシーは、チームの最高年俸(アザールの800万ユーロ)を上回る金額は支払えないという姿勢を最後まで崩さなかった。
 
 チェルシーはユーベに対して7500~8000万ユーロ(約105億円~112億円)の移籍金に加えて、保有選手の中からひとり、ないしふたりを譲渡するという条件を用意していた。仮に選手サイドとの交渉がまとまっていれば、クラブ間でも合意を見出す余地はあっただろう。
 
 ただ、この条件をユーベが受け入れたかどうかは、わからない。ユーベとライオラの間には、次の移籍時には移籍金から一定のパーセンテージ(15~20%と言われている)をライオラが受け取るという約束があるからだ。
 
 これは、12年夏にポグバをマンチェスター・Uから移籍金ゼロで連れてきたことに対するボーナスとして設定されたもの。
 
 もし1億ユーロ(約140億円)で売れれば、ライオラの懐には2000万ユーロ近い金額が入り、ユーベにはおよそ8000万ユーロが残るという仕組みだ。
 
 1億ユーロならば全員が満足するだろうが、移籍金が8000万ユーロ程度だと、ユーベの手元に残るのは6500万ユーロ(約91億円)がいいところ。これはポグバの売却益としては満足できる数字ではない可能性もある

次ページシティ首脳陣はポグバに嘘をついていなかった。

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