【連載】ミラン番記者の現地発・本田圭佑「過去50試合と同じ出来では、明るい未来はない・・・」

2015年09月24日 マルコ・パソット

トップ下より右サイドのほうが合っている?

9月19日のパレルモ戦で、ミランでの公式戦50試合目という節目を迎えた本田。しかし、雲行きは決してよくない。(C)Alberto LINGRIA

 9月19日のパレルモ戦は、本田圭佑にとってひとつの節目となる一戦だった。なぜなら、13年1月にミランに入団して以来、このセリエA4節がちょうど公式戦50試合目だったからである。
 
 50試合のうち先発出場したのは43試合。本田は試合途中でピッチに入り、流れを一気に変えるタイプの選手ではない。歴代のミラン指揮官もそれを重々承知しており、彼を起用するときはキックオフからプレーさせてきた。
 
 この約1年半でミランが戦った公式戦は70試合で、そのうち50試合でプレーというのは、決して悪くない数字である。
 
 ミラン史上で初の日本人選手だが、さすが代表チームのエースである。そんじょそこらの選手ではない。
 
 とはいえ、本田に対して絶対的な評価を下すのは難しい。もしかしたら彼自身も、ミランでのパフォーマンスが評価されているのかいないのか、分からないのではないだろか?
 
「真のプロフェッショナル」、「みんなのお手本」。
 
 ミランで本田を指導した監督たち(なんとすでに5人もいる!)は、口を揃えてそう語っていた。その姿勢は高く評価されているのだ。
 
 しかし、ピッチでは好不調の波が激しく、とりわけ攻撃面で期待に応えているとは言い難い。
 
 いわば本田は、古典的なトレクァルティスタ(トップ下)だ。つまり、一旦ボールを足下に収めて顔を上げ、チームメイトの動きを見ながらパスを出すプレーが十八番である。
 
 ただ、モダンフットボールではもはや、いわば過去の遺物と化しているプレースタイルである。少なくともセリエAではそうなのだ。
 
 中央のゾーンで後ろから2、3人の敵に襲い掛かられ、ボールをロストし続ける本田を見ていると、もはやトップ下より右サイドのほうが合っているのではないかと思えてくる。
 
 そう、クラレンス・セードルフやフィリッポ・インザーギがそうしたように、右サイドに置いたほうが、実は実力を発揮できるのではないだろうか。
 
 実際、昨シーズンは4-3-3の右ウイングを担い、とりわけ序盤戦はゴールを連発する素晴らしいパフォーマンスを見せた。
 
 しかし今シーズンは、本来のポジションであるトップ下を任されながら、むしろパフォーマンスが劣化している。シニシャ・ミハイロビッチ監督は、すでに何度もこう言っている。
 
「本田は自分を犠牲にしたプレー(守備)をしっかりやってくれる。しかし、もう少し自分のすべき仕事、オフェンスの場面で頑張って欲しい。閃きと技術を発揮するプレーをだ」

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