【甲府】首位の鹿島に翻弄されて、浮かび上がった深刻な課題。J1残留へ「迷い」を断ち切れるか?

2015年09月20日 橋本啓(サッカーダイジェスト)

守備がハマり切らず「怖さ」が増幅し、バレーも孤立する悪循環に陥る。

マッチアップを展開する阿部(右)と小笠原。ただ甲府の攻撃は、鹿島の熟練した守備の前に、ほとんど沈黙した。写真:Jリーグフォト

 甲府が鹿島に成す術なく敗れた。第2ステージ11節、0-1のスコアを見れば善戦したように見えるが、シュート数は5対19、そして決定機数は0対6と、明らかに完敗と言える内容だった。GK河田の度重なるビッグセーブがなければ、点差はさらに開いていたはずだ。
 
 それくらい選手個々の質、組織力、いずれも差を埋め難く、下田の「相手のカウンターが怖くて、ただセーフティに蹴る感じになってしまった」との言葉からも窺えるように、腰の引けたような戦いになっていたのは事実だ。
 
 この試合、ホームチームは鹿島の高い位置からの積極的なプレスに苦しみ、ビルドアップ時にミスを重ねた。ボールを奪われてはカウンターを浴び、幾度となくピンチに……。
 
 21分、悪い流れの象徴と言えるシーンがあった。リベロの山本からボランチの下田へ縦パスを預けると、待っていましたとばかりに金崎にボールを奪われ、シュートまで持ち込まれる。
 
 こうして「怖さ」が刷り込まれていった。
 
 しかも、生命線の堅守が鹿島の「個」に決壊されたダメージも大きい。
 
 自陣で5バック、ボランチ、2シャドーが壁を作ったものの、金崎やカイオの突破に翻弄された。「布陣をコンパクトにやろうとしても、個の戦いで負け、最後の身体を張るところで踏ん張り切れなかった」(山本)。
 
 しかも攻撃面(組み立てのところ)でも、前線のバレーがファン・ソッコと青木のCBの厳しいマークされ、ボールを入れられない。すなわち、甲府はボールの預けどころが、なくなってしまったのだ。
 
 守備がハマらず、攻撃も狙っている形にさえ持ち込めない。これで金星を挙げることなど、試合巧者の鹿島が相手ともなればなおさら難しい。結果的に、負けるべくして負けたと言えた。

次ページ鳥栖、新潟、山形と続く『ライバル3連戦』で結果を残せれば残留へ大きく近づける。

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