やり切れない敗戦…抽選の結果、決勝進出ならず。柏U-18主将は悔しさを噛みしめながら、勝者に「自分たちの想いを託した」

2022年08月02日 松尾祐希

「彼らも『日本一を絶対に取るからな』と言ってくれました」

無念の準決勝敗退となった柏U-18。主将の西村(5番)は「こういう経験を無駄にしてはいけない」と前を向く。写真:松尾祐希

 0−2から怒涛の反撃を見せ、前半のうちに横浜ユースから2点を奪った柏U-18。同点に追い付き、さあこれから――。誰もがそう思ったに違いない。

 8月1日に行なわれた日本クラブユースサッカー選手権(U-18)大会の準決勝。群馬県の正田醤油スタジアムで18時30分から開催された第2試合は、ハーフタイムが終わった時点で雷雨により一時中断。天候の回復を待ったが、20時の時点で見通しが立たなかったため、規定によって抽選で決勝進出チームが決めることに。結果は、横浜ユースがファイナル進出となり、柏は無念の準決勝敗退となった。

 誰も悪くはない――。柏のキャプテンを務めるDF西村龍留(3年)も複雑な心境で言葉を紡ぐ。「率直に悔しいですけど、誰も責めることはできないですし、これがサッカーなので受け入れるしかない」。試合後、柏の選手たちは項垂れ、やり場のない想いを心に抱えていたのは想像に容易い。

 だが、そうした状況下でも西村は言い訳せず、自分たちにベクトルを向けていた。左SBで献身的なプレーを見せていたチームリーダーは、試合中から味方を鼓舞。0−2で負けている状態でも決して下を向かない。表彰式では悔しさを噛み締めながらも、凛としていた。

 最も印象深かったのが、表彰式が終わった後の立ち振る舞いだ。味方の選手たちがロッカールームに引き上げていくなか、西村はひとり残って相手の輪の中に入っていく。表彰式中に拍手を送り続けていた横浜の選手たちのもとへ駆け寄ると、MF篠原佑岳(3年)、MF松村晃助(3年)と熱い抱擁を交わした。

 その理由について、西村はこう話す。

「誰も責められない。ベンチで最後に酒井さん(酒井直樹監督)が言ったように、胸を張って帰るしかないですし、表彰式が終わってからマリノスのみんなも拍手をしてくれました。最後に僕が相手の選手のところに行ったのは、相手のキャプテンである篠原と自分がマッチアップしたり、プレミアリーグでもマッチアップした10番の松村とこの舞台で戦えて、(プレーヤーとして)本当に嫌な選手だったけど、マリノスに自分たちの想いを託したかった。彼らも『日本一を絶対に取るからな』と言ってくれました」
 
 本音を言えば、悔しかったはずだ。しかも、相手はプレミアリーグでも対戦している横浜で、知っている顔も多い。それでも西村の中にネガティブな感情はなく、気持ちを切り替え、準決勝の戦いを無駄にせず、前へ進んでいきたいと強く願っている。

「短時間に連続失点すると苦しくなるので、そこは課題。夏の大会は終わってしまうけど、プレミアリーグもまだあるので、こういう経験を無駄にしてはいけない。ここから良い準備をして、全部勝てるようにしたい」

 横浜ユースとの対戦は残っており、最終節で顔を合わせる予定だ。まさに2−2で終わった準決勝の続きを戦うチャンスでもある。そこまでにチームがいかに成長を遂げていくのか。頼れるチームリーダーとともに、柏U-18は次なる目標に向かって走り出す。

取材・文●松尾祐希(フリーライター)

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