【総体】「呪いは解けた」全国決勝の舞台に戻ってきた伝統校・帝京の“新たなスタイル”とは?「前橋育英にも負けていない」

2022年07月30日 森田将義

近年は全国大会出場からも遠ざかっている時期があった

準決勝の後半26分にゴールが決まり、喜ぶ帝京イレブン。写真:森田将義

[インターハイ準決勝]帝京1-0昌平/7月29日(金)/鳴門・大塚スポーツパークポカリスエットスタジアム

「一番いい席で今日は観られたので、楽しかったです」。

 試合後、帝京(東京)の日比威監督が満足げな表情を見せたのは理由がある。4月にプリンスリーグで対戦した際に0-3で敗れた昌平(埼玉)に勝利し、決勝へと進出したためだ。

「(2回戦の)青森山田戦とは違って繋ぐことができましたし、みんながやりたいことが結構できているけど、最後に点がなかなか入らない展開だった。焦れずに継続できたこと、分厚い攻撃を続けられたのが得点に繋がったのかなと思います」

 そう振り返るのは、主将を務めるFW伊藤聡太(3年)。昌平の攻撃を耐える時間もあったが、ただ粘り強く勝ったのではなく、攻撃でも見せ場を作りながらの勝利だった。

 インターハイ優勝3回、選手権優勝6回という成績を残している帝京だが、近年は日本一どころか全国大会出場からも遠ざかっている時期があった。2015年にOBである日比威監督が就任してからは再び上昇ムードが漂い、昨年は11年ぶりのインターハイ出場を果たしたが、初戦敗退に終わった。
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 今年の代は入学時から期待されてきた選手が多く、昨年のインターハイで悔しさを味わった選手も少なくない。Jクラブから注目されるFW齊藤慈斗(3年)のようなタレントもいる中、他のチームとの違いは選手の覚悟。「普通の学校ではないのを分かっていて、みんな来ていますから。ただ、今の子どもたちには過去のことはどうでもよくて、自分たちのことをどうにかしようと気持ちがある」と日比監督は口にする。

 周囲からは勝負の年と期待され、古豪復活を願う声が多い中での決勝進出は、DF山口貴弘(元湘南など)、MF関口訓充(元仙台など)、FW大沢朋也(元讃岐など)を擁して、国見高を破った2002年以来20年ぶり。これまでは古豪復活という責務が重圧になっていた時期もあったはずだが、レジェンドたちがズラリと揃う代の記録に並んだ意義は大きい。

「過去のことを引きずるのは卒業生、学校関係者や、私たちスタッフだと思う。(今日の勝利で)その呪いは解けたと思うので、ここからが本当の勝負」(日比監督)。
 

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