【総体】まさかの初戦敗退を喫した王者・青森山田。約7か月ぶりに復帰した主将が語った“本音”。「実力不足」「全然ダメ」

2022年07月26日 安藤隆人

昨年のインターハイ制覇に貢献

約1年ぶりに全国大会に出場した多久島の夏は1試合で終わった。写真:安藤隆人

[インターハイ2回戦]青森山田1-2帝京/7月25日(月)/徳島市球技場第1競技場
 
 今季の青森山田において欠かすことのできない男が1年ぶりに全国の舞台に帰ってきた。

 1年前の福井インターハイにおいて、30得点3失点という圧倒的な力を見せつけて優勝を果たしたメンバーに、唯一の2年生レギュラーとして名を連ねていたDF多久島良紀(3年)は、昨年の選手権直前に大きなアクシデントに見舞われた。

 11月に右膝前十字靭帯を断裂。選手権出場が絶望的になったどころか、重要な高校3年の3分の1もプレーできなくなる大怪我であった。

 選手権では松木玖生(現FC東京)、宇野禅斗(現・町田ゼルビア)を中心に高い組織力と個の打開力をフルに発揮し、優勝を成し遂げたが、彼はチームの躍進を外から見ないといけなかった。

 チーム内でも信頼が厚かった彼は、松木からキャプテンマークを引き継いだ。誰よりも責任感を持ってチームを牽引しないといけない立場となったが、プレーはできない。ピッチ外ではリーダーシップを発揮してチームをまとめる一方で、キャプテンマークは今年の10番であるFW小湊絆(3年)に託した。
 
 プレミアリーグEASTが開幕し、多久島不在のチームは苦しんだ。開幕3連勝こそしたが、第4節のJFAアカデミー福島に敗れると、そこから5連敗。

「プレミア連敗を目の当たりにして、キャプテンとして何もできないもどかしさもありましたし、みんながサッカーをして成長をしている姿を見て、僕もサッカーをして成長したいという気持ちが入り混じっていました」

 第6節のアウェーの前橋育英(群馬)戦では高体連のライバルに2−3で敗れた後、彼はチームのポロシャツ姿でうなだれる仲間を見つめていた。貢献したいが、貢献できない。彼の表情からはもどかしさが痛いほど伝わった。

 7か月にわたる長いリハビリを経て、6月に復帰をすると、26日の第10節の横浜F・マリノスユース戦で今季のプレミア初出場を果たした。頼もしきキャプテンであり、DFリーダーでもある彼の復帰は、守備面だけではなくチームに精神的な安定感をもたらし、2-0の完封勝利に貢献をした。前節に連敗をストップしてから、2連勝したチームはそこから中断前の2試合を無敗で乗り切った。

「やっと戻れたという気持ちもあったのですが、今までチームにさんざん迷惑をかけてきたので、これからどんどんその借りを返したい」

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