パリSG戦でポテンシャルを示したガンバ戦士たち。やはりJ1で16位に沈むなんてもったいない

2022年07月26日 志水麗鑑(サッカーダイジェスト)

持ち前のスキルを見せつけたシーンは多々あった

パリ・サンジェルマン戦でビッグセーブを連発した東口。被シュート本数を考えれば、6失点でも好パフォーマンスと言えるだろう。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

 ガンバ大阪がパリ・サンジェルマンに大量失点を喫するのは、申し訳ないが予想どおりだった。リオネル・メッシ、ネイマール、キリアン・エムバペなどのスーパースターに終始翻弄されたのも、合計6ゴールを叩き込まれたのも、相手が相手だから致し方がないだろう。

 ただ、世界のビッグクラブを相手に2ゴールを奪えたのは驚いた。まずは34分、右サイドで倉田秋のスルーパスに抜け出した小野瀬康介が低弾道のクロスを送ると、ゴール前で混戦となり、最後は黒川圭介が押し込む。後半に入ると70分には、右サイドで奥野耕平から浮き球のパスを受けた柳澤亘がゴール前に折り返し、反応した山見大登がネットを揺らした。

 やはりガンバの戦士たちは、ポテンシャルが高い。もちろんパリ・サンジェルマンの選手たちにレベルの差を突き付けられる連続だったが、一方で得点シーンの他にも持ち前のスキルを見せつけた場面は多々あった。

 例えば2ゴール目の前には、自陣左サイドでボールを受けた奥野が、巧みなターンで相手のプレスをかわし、すぐさま右サイドへ斜めのパスを供給。敵陣に侵入するには、不可欠な好プレーだった。この若きボランチはハードなタックルでネイマールからボール奪ったシーンもあり、ディフェンス面でも効いていた。ポテンシャルを示した代表的なプレーヤーである。

 守備陣に目を移せば、6失点でもGK東口順昭の好守連発は色褪せない。15分にネイマールとの1対1でビッグセーブすると、20分にはパブロ・サラビアの至近距離のシュートを超人的な反射神経で弾き、27分にもアシュラフ・ハキミとの1対1を防いだ。パリ・サンジェルマンのシュート本数は27本。ガンバが誇る守護神は何度も見事なシュートストップを見せていた。
 
 奥野や東口を筆頭に選手たちの能力は高いガンバが、なぜJ1で16位に沈んでいるのか、分かるシーンもあった。30分、最終ラインからビルドアップするパリ・サンジェルマンに対し、ワントップの鈴木武蔵が前線からプレスをかける。しかしプレッシングに連動していたのは右シャドーの石毛秀樹くらいで、他の選手たちは自陣に引いたままだった。

 大きく空いた最前線と中盤の間のスペースは、ガンバがチームとして噛み合っていない実情を如実に表現していた。後ろを振り返ると味方が付いてきていない事実を認識した鈴木は、ガッカリしている様子だった。些細なワンシーンかもしれないが、小さな綻びから、歯車は狂っていくものである。

 攻守でコンビネーションを高めれば、選手たちにポテンシャルはあるのだから、強いガンバを取り戻せると感じたパリ・サンジェルマン戦だった。やはりJ1で16位に沈むなんてもったいない。未来への期待を込めて、そう思う。

取材・文●志水麗鑑(サッカーダイジェスト編集部)
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