【柏】二度のACL広州恒大戦で掴んだ自信と突きつけられた課題

2015年09月16日 鈴木潤

工藤は2年前の対戦時とは異なる感情を口にした。

2年前の対戦時からの手応えを口にした工藤。しかし、ゴールは近いようで遠かった。(C) Getty Images

 アジア・チャンピオンズリーグ(ACL)準々決勝・第2戦で広州恒大に1-1と引き分け、敗退が決まった直後、工藤壮人は2年前とは違う感情を吐露した。
 
「2年前ほどの実力差、相手の衝撃はなかったので、そこの悔しさ、手が届きそうで届かないもどかしさがあります」
 
 2013年のACL準決勝で柏が広州恒大と対戦した時は、第1戦では1-4、第2戦では0-4と大敗し、実力差をまざまざと見せつけられる結果となった。当時に抱いた手も足も出なかった悔しさとは異なり、今回の対戦では堂々と渡り合ったからこそ、もう少しで広州恒大に勝てたという感情が募ったのだ。
 
「広州は2年前と比べ、よりオーガナイズされている。もう少しフィジカル的なパワーが全面的に出ていたチームだったんですが、それに加えて守備とプレッシャーの掛け方も洗練されている」(吉田達磨監督)
 
 マルチェロ・リッピ監督が率いていた2013年当時の広州恒大は、吉田監督の説明にもあるとおり、エウケソン、ムリキ、ダリオ・コンカといった高い能力を持つ外国籍選手の個の力を前面に押し出すチームだった。ネルシーニョ監督(当時)はその個の力を消そうとマンマーク気味の守備で応戦したが、逆に個と個の勝負の局面で大きな違いを出されて柏は敗れた。
 
 今季途中からルイス・フェリペ・スコラーリ監督が就任した広州恒大は、ACLグループステージで見せた粗さが消え、組織的に統率が取れたチームに変貌を遂げている。そのチームに対し、柏は奇策を用いることはせずに"ボールとスペースを支配する"柏のスタイルで真っ向勝負を挑んだ。つまり、相手の良さを消そうとした2年前に対し、今回は自分たちのスタイルを貫いたのだ。

次ページ相手の強力2トップを組織的な守備で抑え込んだ自信。

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