国内組で臨むE-1、森保ジャパンの戦い方、指揮官の思惑は? 守りに入れば希望は広がらない。大胆かつ積極的なトライを

2022年07月18日 元川悦子

香港戦は川崎・名古屋勢が軸になるか

“国内組”森保Jの主将に任命された谷口。E-1は「難しい大会」と警戒を強める。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

 7月19日から開幕するE-1選手権。日本代表は初戦の香港戦から戦いをスタートさせることになる。

「僕も過去に2回(2015・17年)出ていますが、難しい大会だなと。急造チームで合わせる時間もないですし」とキャプテンに指名された谷口彰悟(川崎)も神妙な面持ちで話す通り、今回は26人中11人が代表初招集。全員が一堂に会するのも18日からという状況だ。

「初めて話す人、サッカーをする人もたくさんいる」と、森保ジャパン常連組の彼が言うのだから、大半の面々はよく知らない仲間と優勝を目ざして東アジアのライバル国と戦っていかなければいけない。指揮官のチーム作りも困難を極めそうだ。

「3試合で、できるだけ多くの選手を起用しながら、大会に臨もうと思っています」と森保一監督は前日公式会見でコメントしたが、香港戦に関しては、17日の合宿初日からフルメニューをこなした川崎・名古屋勢を軸に編成することになりそうだ。谷口、山根視来、脇坂泰斗、中谷進之介、相馬勇紀の5人は16日のJ1公式戦がなかったぶん、疲労がなく、コンディションが良い。そういう面々を優先的にスタメン起用すると見られる。

 それ以外は17日に試合があった広島勢以外から抜擢される公算が大。となれば、GKは谷晃生(湘南)か鈴木彩艶(浦和)、左SBは杉岡大暉(湘南)か小池龍太(横浜)、中盤は岩田智輝と藤田譲瑠チマの横浜勢が脇坂と絡む可能性が高い。3トップは水沼宏太、西村拓真の横浜勢が揃って入ることになりそうだ。
 
 短期決戦のE-1では、所属クラブのコンビや連係をダイレクトに生かすほうが得策。バイエルン・ミュンヘンを軸に据えているドイツ、バルセロナをベースにしているスペインのチーム編成を徹底分析している森保監督も、今回は計算できるユニットを有効活用するのが賢明だと考えているはずだ。おそらく24日の次戦・中国戦は広島勢を中心に編成する見通し。1週間以上の練習期間を取れる27日の韓国との決戦はベストメンバーで行くのではないか。

 そういったアプローチで2013年の韓国大会以来、2度目のE-1タイトルを手にできれば、選手にとっても理想的だ。「勝っている試合に出ているのが一番のアピールになる」と代表OB松井大輔(YS横浜)も強調したように、今大会からカタール・ワールドカップ行きを現実にしたいと考える面々にしてみれば、何よりも結果も重要。そこは絶対に外せないポイントと言っていい。

 思い起こせば、9年前のE-1でも、MVPに輝いた山口蛍(神戸)、得点王の柿谷曜一朗(名古屋)ら6人が代表に定着し、2014年のブラジルW杯を射止めている。もちろん、E-1からW杯まで1年あった当時と、4か月しかない今回とでは、新戦力の滑り込みの余地には大きな差があるのも事実だ。しかも、今は代表の大半が欧州組。国内組には逆風が吹いている。
 

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