【広島】J1唯一の平均得点2点台。最多ゴール狙う佐藤を後押しする攻撃の狙いとは?

2015年09月12日 中野和也

キーワードは「インスイングクロス」。

第2ステージ・9節の名古屋戦で、J1最多得点記録の157ゴールにリーチが懸かった佐藤。今節の山形戦で記録到達なるか。写真:徳原隆元

 なぜ、広島が点をとれるのか。その設問に答えを出すのは難しい。
 
 昨年は平均得点1.29と低迷したチームなのに、過去3年間でふたり合わせて40得点・40アシストを記録した高萩洋次郎と石原直樹(現浦和)を同時に失ったにもかかわらず、今季はリーグ唯一の平均得点2点台。横内昭展ヘッドコーチは「選手たちの能力が高いから点が取れている」と煙に巻いたが、もちろんそれは前提だろう。
 
 実は今季、クロスからの得点が大幅に増えている。昨年は34試合で8得点だったのに対し、今季は26試合ですでに11点をマーク。クロス起点のゴールは平均1.85点を記録した2012年の10点を早くも上回り、森保一監督就任以来最多となった。
 
「サイドから得点が取れないと難しいと、シーズン当初から考えていた」と横内コーチは言う。そのため、サイドの選手に得点を狙う意識を増幅させ、そこから派生してインスイング(ゴールに向かっていく軌道)クロスをひとつの形として昇華させた。
 
「ワイドでは、相手は徹底して縦を切ってくる。だったら中に入っていけばいい」(横内コーチ)
 
 例えば名古屋戦の1点目はミキッチのインスイングクロスから。縦への勝負と中への切れ込みを使い分け、5点中4点をサイドから生み出した。左の柏好文が3得点・4アシスト、右のミキッチが7アシストとゴールに絡んでいるのは、サイド攻撃のバリエーションがチーム全体に浸透した成果である。

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