【藤田俊哉の目】「先制点」と「日本らしさ」。香川の2ゴールは大きな意味を持っている

2015年09月09日 サッカーダイジェスト編集部

エースナンバーを背負う人間は常に結果をもたらさなければいけない。

香川の2ゴールはチームに勢いをもたらし、ゴールラッシュを呼び込む流れを作った。写真:滝川敏之(サッカーダイジェスト写真部)

 ロシア・ワールドカップ・アジア2次予選のアフガニスタン戦で、日本は香川、岡崎が2得点ずつを挙げるなど6-0の大勝を収めた。久々のゴールラッシュを見せた日本代表のパフォーマンスを元日本代表の藤田俊哉氏は、どう評価するのだろうか。
 
 
 戦前の予想どおり、日本のワンサイドゲームになった。アフガニスタンは、シンガポールやカンボジアのように極端に引いた守備をしてきたわけではなかったから、日本は戦いやすかったんじゃないかな。
 
 ただ、いかなる試合でも大量得点は評価すべきことだし、アウェーゲームで6ゴールを奪うのは、どんな相手だとしても大変なことなんだ。
 
 本来ならば、ホームゲームよりもアウェーゲームのほうがプレッシャーはかかるものなんだけど、日本代表の場合は、もしかしたら、アウェーゲームのほうが伸び伸びとプレーできるのかもしれないね。
 
 アフガニスタンが政情不安のため、中立国のイランで戦えたことも追い風だったのかな。いずれにしても、選手たちの表情を見ていると、先日のカンボジア戦よりも硬さはなかったように見えた。
 
 そうしたなか、アフガニスタン戦の最大の収穫は香川真司が2ゴールを決めたことだね。カンボジア戦でもハリルジャパンになって初ゴールとなる1ゴールを決めて見せたけれど、こぼれ球をプッシュしたもの。しかも42分に無人のゴールに流し込むだけのビッグチャンスを外してしまったミスもあっただけに、彼自身も、もう少しすっきりとした形でゴールを決めたかったと思う。
 
 この2ゴールは日本の10番にとっても、チームにとっても、いずれも大きな意味を持っている。1点目は原口元気からのパスを受けてそのままシュートを突き刺したものだけど、「先制点」を香川が決めたことが大きい。どんな試合でも先制点はとても重要なゴールだ。
 
 これまで多くの場面で、相手ゴールをこじ開けていたのが本田圭佑だったけれど、今回はアウェーの地で、その大事な役割を香川がやってくれたのは素直に嬉しい。
 
 香川の2点目もまた特別な意味を持っている。この日の6ゴールのなかでも、それがとりわけ強く印象に残っているのは、ワンタッチのコンビネーションが上手くいった「日本らしい」ゴールだったからだ。
 
 やはり、テクニックという点では香川がチームのなかでナンバーワンだ。日本らしい攻撃の中心には必ず彼がいるべきなんだ。10番というエースナンバーを背負う人間は、常にチームに結果をもたらさなければいけないものだけど、しかるべき人間がしかるべき結果を出せばチームは明るくなるし、勢いが出てくる。そう改めて痛感させられたゲームだったと思う。

次ページ日本はあくまでアジアのトップを走り続けなければいけない国。

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