【インタビュー】アンドレア・ピルロ「新たな挑戦が必要だった」

2015年09月05日 パオロ・フォルコリン

「アメリカのファンには最高のプレーと勝利を約束する」

ユーベを退団してアメリカに渡ったピルロ。決断の理由を語った。 (C) Getty Images

 残り1年だったユベントスとの契約を解除し、ニューヨーク・シティに新天地を求めた稀代のレジスタ。アンドレア・ピルロは、なぜヨーロッパを離れる決断を下したのか。旧知のガゼッタ紙記者に語った。
 
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——まずは「ベルリンの涙」から話を聞かせて(編集部・注/6月6日のチャンピオンズ・リーグ決勝に敗れた後、シャイで知られるピルロが人目も憚らず涙を流した)。あれはユベントスに別れを告げると決心したからこその涙だったの?
 
「違うよ。あれはビッグイヤーを獲るために必死に戦った者の悔し涙だ。勝てると信じていたのに、僕たちは敗れた。だから、あの涙には大きな挫折感と悔しさが詰まっていたんだ。
 
 キャリアの最後にアメリカに渡ることはしばらく前から考えていたけど、あの時点ではユベントスを出て行くかどうかまだ決めていなかった」
 
——ユベントスで続けるという選択を捨てたのはなぜ? 
 
「14-15シーズンはセリエAとコッパ・イタリアを制し、チャンピオンズ・リーグでは決勝まで進出した。ほとんどパーフェクトだ。
 
 だから僕には、新たな場所での新たな挑戦が必要だったんだ。それでニューヨーク・シティからの誘いにイエスと答えた。正しい選択をしたと思っているよ」
 
——ミランで10年間戦った後、ユーベのオファーを受けた4年前と同じような気持ち?
 
「いや、全然違うな。今とあの時では状況がまったく異なるからね。4年前はミランとの契約が満了する時期だったのに、更新のオファーがなかった。
 
 つまりミランの首脳陣は僕に、暗に退団勧告をしたわけだ。だからユベントスへの移籍は、僕はまだまだやれると証明するための挑戦だった。でも、あれから4年の月日が経った今は、そんな気持ちは少しもない。新たなリーグで新たな経験をしたいという好奇心だけさ」
 
——MLSはどんなリーグ?
 
「多くのカンピオーネが次々に参戦することで、どんどんレベルが上がってきていると思うよ」
 
——でも、「カンピオーネたちの終焉の場所」というイメージも拭いきれない。サッカー人生最後のビッグマネーを稼ぐ場所という……。
 
「そう見られがちだけど、実際はそうじゃないってことは多くの例からもわかるはずだ。経験豊富なベテランだけじゃなくて、キャリアのピークにある選手もプレーしている。例えばジョビンコとかね(注/ジョビンコは現在28歳。15年2月にユベントスからトロントFCへ移籍)」
 
——アメリカのサポーターには何を約束できる?
 
「まず何より、最高のパフォーマンスを見せること。それから楽しくて興奮するサッカーをプレゼントすること。ただ、僕は勝たないとサッカーを楽しめない性格でね。だから、勝利も約束したい」
 
——新しいチームメイトの印象は?
 
「みんなすごく礼儀正しくて親切。とくにランパードとビジャとは会う前からメールでやりとりしていたし、こっちに来てからもかなり長く話し込んだよ。
 
 彼らもアメリカのサッカーをちょっと経験するだけじゃあ満足しないって言っていた。やるからにはタイトルを狙うってね。僕と同じ気持ちなんだ。まずはMLSカップ(レギュラーシーズン終了後の優勝決定トーナメント)の出場を全力で目指すよ。
 
 そして、ライバルを蹴散らす。優勝を狙うんだ。ともかく今まで通り、その時その時の目標を確実にクリアして上を目指したい」
 
——本拠地ヤンキー・スタジアムの印象は?
 
「素晴らしいスタジアムだ。ヨーロッパの最も優れたスタジアム、つまりサンチャゴ・ベルナベウやカンプ・ノウ、サン・シーロやユベントス・スタジアムなんかにも決して引けを取らないよ。ロッカールームも本当に広くて趣があってね。あれには感動した」

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