マドリー番記者が語る「デ・ヘア獲得失敗の余波」と「ベイルの“ロナウド化計画”」

2015年09月04日 パブロ・ポロ

デ・ヘアを逃す大失態。今夏の移籍市場は失敗だった。

アグエロやポグバを獲れなかったマドリーは、手中に収めたはずのデ・ヘアも土壇場で逃す大失態。今夏の移籍市場は失敗だったと、ポロ記者も手厳しい。 (C) Getty Images

 レアル・マドリーの今夏の補強に対する評価は、たった1日で変わってしまった。
 
「デ・ヘア事件」が起きたからだ。
 
 ペーパーワークのミスという信じられない理由で、ダビド・デ・ヘアの獲得は幻に終わってしまった。マドリーはマンチェスター・ユナイテッドとともに、世界中で笑い者にされている。
 
 移籍期限最終日の8月31日にこの失態を犯すまで、私は今夏のマドリーの補強をある程度評価していた。ポルトから獲得した右SBダニーロ、同じくポルトからレンタルバックのMFカゼミーロ、そしてインテルから獲得したMFマテオ・コバチッチは、いずれも戦力的に大きなプラスとなると考えたからだ。
 
 しかしデ・ヘアの一件ですべてが変わった。今夏のマドリーの移籍市場は失敗に終わったと言っていい。
 
 ホーム開幕戦となった2節のベティス戦(5-0)で、守護神のケイラー・ナバスはベルナベウのスタンドから大声援を受けていたが、これからはそういうわけにもいかないだろう。ミスをしようものなら、こんな声が飛び交うはずだ。
 
「だからデ・ヘアを獲るべきだったんだ」
 
 さらに批判の矛先は、過去に例のないミスを犯したクラブ上層部へと向けられる。イケル・カシージャスの後継者として、誰よりもデ・ヘアの獲得を望んだフロレンティーノ・ペレス会長が、その矢面に立たされるだろう。
 
 今夏のマドリーは、いわゆる大型補強をしなかった。補強費の総額は、デ・ヘアが獲れなかったこともあるが、1億ユーロ(約140億円)に届かなかった。これは1億4000万ユーロ(約196億円)近くを投じたアトレティコ・マドリーも下回る額だ。
 
 セルヒオ・アグエロとポール・ポグバの獲得にはチャレンジした。だが、それぞれマンチェスター・シティとユベントスの首を縦に振らすことができなかった。
 
 そこでマドリーは、強化方針を切り替えた。ビッグネームを加える大型補強ではなく、現有戦力を底上げする方向に、だ。

次ページベイルのバリューをピッチ内外で倍加させる目論み。

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