不確定なバルサを浮き彫りにしたガビの契約延長交渉。シャビが要求する“本物”の補強と大量放出は進むか【現地発】

2022年06月16日 エル・パイス紙

市場価格は上昇傾向にある

バルサとの契約延長の行方が注目されているガビ。(C)Getty Images

 バルセロナがチャンピオンズ・リーグ(CL)の出場権を獲得し、バカンスに突入する前のことだ。シャビ監督はジョアン・ラポルタ会長に「今夏、きちんとした補強をしなければ、来シーズン、どんなことがあっても勝負にならない」と警鐘を鳴らした。

 冬の移籍市場がオープンした時のような"突貫工事"ではない。チームの構造的な問題を解決し、ポスト・メッシへと舵を切るためには"本物"の補強が不可欠であると指揮官は訴えた。

 しかしバルサの経営が事実上、破産状態に陥っているのは周知の通り。クラブが資産の売却に躍起になっている所以でもある。しかしその売却の筆頭候補に挙がっているフレンキー・デヨングにしても、2019年にクラブ間で合意した移籍金7500万ユーロ(約98億円)のうち、アヤックスに支払いが完了していない額は約4000万ユーロ(約92億円)に達する。

 またメッシのように、給与が未払いのままの退団した選手もいる。補強資金の工面は容易な作業ではなく、事態は切迫している。
 
 そんな中、暗礁に乗り上げているのがガビの契約延長交渉(現行契約は23年6月に満了)だ。当初交渉は順調に進んでいた。しかし、フリートランスファーでの獲得で合意しているフランク・ケシエ(ミラン)とアンドレアス・クリステンセン(チェルシー)の契約内容が明らかになると、サインする決意を固めていたガビは一転、代理人のイバン・デ・ラ・ペーニャに交渉を中断するよう要請した。

 しかもここ数週間のスペイン代表における活躍とルイス・エンリケ監督の賞賛で、市場価格は上昇傾向にある。ガビが希望しているのは、ケシエやロナウド・アラウホに見劣りしない待遇を手にすることだ。デ・ラ・ペーニャは先日、クラブとの話し合いを再開している。

 フベニール(U-19)所属の選手の契約形態でシーズンをスタートしたガビの年俸はおよそ10万ユーロ(約1300万円)。契約解除金は5000万ユーロ(約65億円)に設定されている。バルサは近年、ペドリ、アンス・ファティ、アラウホと若手の契約延長を優先的に進めてきた。いずれもこれからのバルサを背負っていく選手というクラブの期待が契約内容に反映されており、ガビは自身もその仲間入りを果たすだけの価値があると考えている。
 

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