【三浦泰年の情熱地泰】まだ人生は懸かっていない…本番までに必要な体験だった完敗のチュニジア戦

2022年06月15日 三浦泰年

監督にとってはW杯に向けて素晴らしい実証実験になった

失点に絡むミスを犯してしまった吉田だが、まだ本番ではない。この敗戦をW杯での勝利につなげたい。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部/JMPA代表撮影)

 キリンカップサッカー決勝。やっとワールドカップ(W杯)を迎えるために、良い試合になった。

 プロの選手とプロの監督で構成し、W杯グループステージを想定したテストマッチであるのだから、結果は問われるのだろうが、W杯を想定しただけであって本番のW杯ではない。
 
 勝っても勝点3が入った訳ではなく、負けて勝点を失った訳でもない。

 逆にこのようなタイミングになると、日本代表としてW杯のピッチに立つ資質があることをはっきり証明できたか、できなかったかを、言い訳なしで理解できた選手にとっては、良いチャレンジの時間がもらえた試合となった。

 ファン・サポーターも「あの選手を使え」「誰々より誰々の方が良い」などと言いたいことを言えるのだから……良いモノが見れたのではないか?

 勝負にこだわれば、今日の交代策はまた違ったものであったと思う。1点ビハインドで久保と堂安を投入して勝負に出た末にこのような結果になるというAという道と、日本代表のリズムでゲームが進み、結果が逆になるというBという道もイメージできた。

 ファン・サポーターがBという道を想像して久保と堂安の出場機会を待っていたとしたら、そして森保監督が彼らを出場させなかったとしたら……。またこの交代は本番のW杯では采配的中、ズバリとなる可能性もあるし、現時点では他選手との実力の差は明らかだったという残念な見方もできる内容だったかもしれない。

 ただ交代で流れを変えるのは簡単ではなく、あのスピードについていき、チュニジアの守備をこじ開ける役割は容易ではない。

 また守備面でもGKを198cmのシュミットにしたら、ディフェンスラインで何が起きるのか、吉田と板倉を組ませるとどのような事が起きたのか? 起きたネガティブな現象とポジティブな現象を、出場しなかった冨安、谷口であるいはGKが権田で、となればどうなると予測できるのか?

 監督にとってはW杯に向けて素晴らしい実証実験になったのであろう。
 

次ページ結果も内容も完璧な試合などは滅多にない。この時期の、このようなシチュエーションの試合は、これでも良い

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