ストライカーより中盤が主役になりがちな日本代表。飛び出しがほぼ空振りだった上田に求められるのは…

2022年06月12日 清水英斗

ガーナ戦の先制点は見事な崩し方だった

日本はガーナに4-1の快勝。1トップで先発した上田は、中盤との意図が合わず無得点に終わった。写真:金子拓弥 (サッカーダイジェスト写真部/JMPA代表撮影)

 日本は6月10日、キリンカップサッカー2022でガーナと対戦。前半に山根視来、三笘薫、後半に久保建英、前田大然がゴールを挙げ、4-1で快勝した。14日に行なわれる決勝は、チリを2-0で破ったチュニジアとの対戦となる。

 日本の90分間を通したスタッツは、ポゼッション率55パーセント、シュート17本(枠内6本)。ガーナが高い位置からプレスにこなかったので、センターバックがフリーで配球することができ、主導権を握る展開になった。

 ガーナの守備システムは[5-3-2]。日本は序盤、右ウイングの堂安律がスペースへの飛び出しからチャンスを作ったが、これは効果的な先制攻撃だった。日本の[4-3-3]とガーナのシステムのかみ合わせを見ると、相手アンカーの両脇で、インサイドハーフの久保建英と柴崎岳が浮く格好になる。

 この浮いた久保と柴崎をマークしようと前に出た、ガーナの左右センターバックの背後のスペースへ、大外から堂安が斜めに飛び出した。目の前の敵を1対1で振り切れば、左センターバックは久保に釣られているため、中央でカバーする選手はいない。堂安の飛び出しは効果的だった。
 
 他方、逆サイドでも三笘が同じように相手を振り切り、スペースへ飛び出そうと狙っていた。両チームの立ち位置のかみ合わせ上、堂安や三笘の飛び出しは、カバーが利きづらくなる相手の急所をうまく突いていた。

 しかし、時間とともにガーナは堂安らの飛び出しを警戒し、左右センターバックがとどまってスペースを埋めるようになり、最終ラインが低くなった。その分、中盤にはスペースが生じるため、前半の中頃からは久保や柴崎、あるいはサイドバックの山根や伊藤洋輝がボールを持ちやすくなり、堂安や三笘とともに両サイドを、ひと手間加えたコンビネーションで崩す展開になった。

 29分に生まれた先制点は、まさにその形だ。久保、堂安とのコンビネーションで山根が飛び出し、左足でゴール。本戦出場を決めたワールドカップ・アジア最終予選のオーストラリア戦でも見られた形で、見事な崩し方だった。
 

次ページ少し乗り切れなかった上田。重要なのは自分のタイミングをいかに味方へ伝えるか

みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事