ブラジル戦で見えた“3つの課題”。ドイツ、スペインの分析を加えて、どうプランニングするか

2022年06月09日 河治良幸

ドイツやスペインとの物差しを見誤るのも危険

ブラジル戦は0-1で敗れた日本。チーム力、個の差は明らかだった。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部/JMPA代表撮影)

 6月6日、キリンチャレンジカップで日本はブラジルと対戦。ネイマールのPK弾で、0-1の敗戦を喫した。

 ブラジル戦は様々な見解が飛び交っているが、それだけ注目度の大きな試合だったということだろう。本大会に向けた強化試合の1つでありながら、普段あまりサッカーを観たり、話題にしない人にも注目してもらえる機会だった。それだけに、セットプレー一発での勝利か、少なくとも引き分けに持っていけたら、世間における日本代表の風向きを多少なりとも変えられたかもしれない。

 そういう意味では、77分のPKによる失点で負けたというのは残念だが、内容面を見れば、やはりブラジルと日本のチーム力、個の差は明らかであり、残り半年でどうこうできるものではない。

 ただ、ネーションズリーグを観ていたという鎌田大地が指摘するように、ブラジルはフランスと並ぶカタール・ワールドカップの優勝候補であり、おそらくドイツやスペインよりもさらにワンランク高い。

 そう考えると、ブラジル戦から素直に学ぶべきところと、あまりブラジル戦で出た差に向き合いすぎて、ドイツやスペインとの物差しを見誤るのも危険かもしれない。もちろんドイツにもスペインにもブラジルに無い特長や強みはあるが、局面でボールを奪えそうでも奪えないとか、フィールドのほぼ全員がドリブル1つで剥がしてくるとか、そういったブラジルならではの強みに関しては、気にしすぎないことも大事だろう。
 
 それを踏まえてブラジル戦で出た日本の課題としては、大きく分けて「良い形でボールを奪えない」「効果的なファーストパスを出せない」「カウンターで攻めきれない」という3つだ。また、ボールを持ってブラジルに構えられてからも、サイドからも中央からも、もっと差し込むパスやドリブルで危険なシーンを作りたかったが、そこでブラジルからゴールを奪い切るのは強豪国でも難しいだろう。

 日本はゴール前に守備を固めていたといった見方もあるが、実際はラインをできるだけ高くして、プレッシャーかけようとトライはしていた。しかし、そこでボールを奪えず簡単に運ばれるので、それに応じて下がるし、日本がマイボールにした後もアタッキングサードまで運べず、ブラジルに奪回されてしまうことが多く、ショートカウンターで攻められたシーンも含めて、自陣ゴール前の対応になるという繰り返しだった。

 ドイツやスペインに対しても、基本は高い位置からプレッシャーをかけてボールを奪いたいが、そのためには国ごとに分析して、狙いどころを見極めていく必要がある。そこが本番仕様でブラッシュアップされていけば、日頃から欧州で前からのプレッシャーをやっている選手たちなら、ドイツやスペインに対してもプレッシャーをかけていけるはずだ。
 

次ページ最も足りなかったのは、躊躇なく行き切ること

みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事