森保ジャパンの“切り札”に課されたタスク。伊東純也&三笘薫が「抜ける選手」になるために何をすべきか?

2022年06月08日 元川悦子

シュートは強引に打った62分の1本のみ

日本の攻撃のカギを握る伊東(左)と三笘(右)。両ドリブラーのさらなる進化に期待したい。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部/JMPA代表撮影)

 6月6日、FIFAランキング1位のブラジルを東京・新国立競技場に迎えた一戦。ご存じの通り、ネイマール(パリSG)のPKによって、日本は0-1の苦杯を喫した。過去10年間の4度の対戦時は全て3失点以上していた日本だが、今回は失点する77分まで0-0でしのぎ、セレソンを焦らせるところまで追い込んだ。

 2日に韓国戦を戦い、中3日で日本戦に挑んだ彼らの状態はもちろん100パーセントではなかった。キャプテンの吉田麻也(サンプドリア)も「僕はネイマールとは何度もやっているし、リシャルリソン(エバートン)やジェズス(マンチェスター・C)ともやっていますけど、本来のクオリティじゃない感じがする。これがワールドカップ(W杯)本戦なら、0-0で終えなければいけない試合だった」と厳しい表情で語っていた。

 ただ、4度の惨敗を知る長友佑都(FC東京)が「今まで対戦したブラジルには手も足も出なかった。毎回、悲壮感を覚えたし、何もできない自分に腹立たしさを感じたけど、それと比べると僕自身は手応えを持てた試合だった」と前向きにコメント。守備陣や遠藤航(シュツットガルト)、原口元気(ウニオン・ベルリン)など互角に渡り合えた面々は確かにいた。組織的守備がある程度、通用したのは朗報と言っていい。

 だからこそ、攻撃面で脅威を与えたかったのだが、今回の日本はシュート4本にとどまり、枠内に至ってはゼロ。「点が取れる気がしなかった」というのが、正直なところだ。

 とりわけ、アジア最終予選で4戦連続弾の伊東純也(ヘンク)、3月のオーストラリア戦で2ゴールを叩き出した三笘薫(ユニオンSG)の両ドリブラーが個で敵を剥がしきれなかったことは、特筆すべき点。アジアでは無双状態だった2人が、世界トップに跳ね返されてしまうのが、日本攻撃陣の現在地と言うしかないだろう。

 右ウイングで先発した伊東に関しては、対面に位置するギリェルメ・アラーナ(アトレチコ・ミネイロ)に縦の突破を仕掛け、クロスを上げた12分のシーンや、長友のインナーラップを演出した35分の好機など、何度かチャンスメイクは見せた。が、中に切れ込んでフィニッシュに持ち込むには至らなかった。

 シュート自体も右サイドから強引に打った62分の1本のみ。今季ベルギー1部で8ゴール・21アシストという結果を残した男も、世界最高峰レベルの圧力や巧みな駆け引きを前に、相手ゴールをこじ開けられなかったのが現実だ。
 
 72分から登場し、南野拓実(リバプール)と代わって左ウイングに陣取った三笘は、1点をリードされた後の86分と88分に大胆な仕掛けを披露。前者ではブルーノ・ギマラエス(ニューカッスル)をかわし、鎌田大地(フランクフルト)とのワンツーでペナルティエリア内に侵入。ギマラエスに倒されたが、PKにはならずじまい。

 後者ではオープンスペースからグイグイ侵入したが、途中から右サイドバックに入ったエデル・ミリトン(レアル・マドリー)に身体を寄せられ、クロスを上げさせてもらえなかった。

「自分の得意な形で仕掛けようってところはできたと思いますけど、相手の強さを感じたし、スピードのところではまだまだ全然足りない。ミリトン選手のスピードが速いのは分かっていたので、自分のドリブルがどれだけ通用するか知りたかったけど、2本くらい止められているので、それが実力だなと改めて分かったのが良かったと思います」

 三笘本人は悔しさをにじませながらも、自身の現在地をしっかりと認識した様子だった。
 

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