誰よりもゴールにこだわる鈴木唯人。ハードワークも厭わず、攻守で代えのきかない存在に【U-21代表】

2022年06月04日 松尾祐希

サウジ戦では「球際や走ること。基本的な部分が重要になる」

UAEとの初戦では、チームを勢いづかせる先制弾の鈴木。精力的なプレスバックなど守備でも奮闘した。(C)2022 Asian Football Confederation (AFC)

 今年の3月下旬に開催されたドバイカップの初戦後、鈴木唯人(清水)はこんな言葉を口にしていた。

「A代表の大事な試合が海外であったとしたら、(長距離移動の影響でコンディションが整っていない時でも)パッとパフォーマンスを出せないと結局は評価されない」

 1月に参加したA代表候補合宿では長友佑都(FC東京)、大迫勇也(神戸)といった経験豊富な選手たちから「サッカーに対する姿勢を学んだ」。しかし、クロアチアと戦ったドバイカップの初戦は不発。その後も無得点に終わるなど、U-21日本代表では目に見える結果を残せていなかった。

 20時間弱の移動を経て、普段とは異なる環境でのプレー。身体が重いのは仕方ないだろう。だが、言い訳にしていたら日の丸を背負って戦う資格はない――。

 それだけに、6月3日に行なわれたU-23アジアカップのグループステージ初戦、U-23UAE代表との試合では、誰よりもゴールにこだわっていた。

「得点を取りたかった。得点だけを考えていたわけではないけど、一番評価されるのはそこ。なんとかゴールを目指したかった」

 待望のゴールは0−0で迎えた61分。右SB内野貴史(デュッセルドルフ)が右サイドからアーリークロスを入れると、ゴール前にいた鈴木の目の前のDFが処理を誤り、ボールは鈴木のもとへ。冷静にトラップすると、寄せてきたもう1人のDFをシュートフェイントで外す。最後は左足でネットを揺らした。ゴール後に思わずこぼれた笑顔が物語っている。自らの責任を果たし、その表情からも心のうちが見て取れた。

 代表で戦う自覚はゴール以外でも随所に見て取れ、「内容も大事。それを求めながら、結果を出したかった」という言葉通りに嘘偽りはなかった。

 4−3−3のインサイドハーフでフル出場し、豊富な運動量と球際の強さでチームを牽引。攻撃ではハーフスペースでパスを受け、ボールを失わずに何度も前に運んだ。相手が身体ごとぶつけてきても関係ない。ひとりで局面を打開する場面も珍しくなく、4人目のDFが鈴木をファウルでなんとか止めるシーンもあった。

 守備ではプレスバックを怠らず、最後まで足を止めずに奮戦。「インサイドハーフのポジションは好き。ハードワークが一番求められるポジションだけど、球際や走るところで自分の武器をより出せるし、逆に(FWの時とは異なり)前を向いた状態で前へ入っていける」。チームはピッチコンディションの問題もあり、90分を通じてテンポ良くパスを繋げなかったが、鈴木は攻守で代えが効かない存在であることを証明した。
 
 今季は春先から好調を維持。クラブでも課題だった決定力で成長の跡を示してきた。3月に発足した大岩ジャパンではトレーニングマッチも含めて無得点だったが、代表でひとつ結果を残せたことで弾みがつくだろう。

 6日に行なわれる2節の相手は、グループステージ最大の強敵サウジアラビア。互いに連勝を目ざして戦う一戦でも結果を求めつつ、チームのために戦う点は変わらない。

「相手はそれ以上にタフにやってくるし、上手い選手も多い。その中で球際や走ることなどの基本的な部分が重要になってくる」とは鈴木の言葉。どんなに苦しい状況でも結果を残す――。日の丸を背負って戦う意味を誰よりも知る男は、次戦も結果にこだわってピッチに立つ。

取材・文●松尾祐希(フリーライター)

[試合情報]
AFC U23アジアカップ2022
グループステージ第2戦
日本代表 vs サウジアラビア代表
2022年6月6日(月)22時キックオフ
DAZN独占配信

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