脅威の万能戦士。湘南で最も波に乗っている22歳MFは、期待感がかなりある

2022年05月30日 岩澤凪冴(サッカーダイジェスト編集部)

「次につながる負けだと思います」

積極的にミドルシュートやスルーパスを狙った池田。持ち前のキック精度で攻撃に変化をもたらした。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

 リーグ戦では17位と苦しむ湘南だが、ルヴァンカップはプレーオフステージに駒を進めている。躍進の立役者となっているのは、加入2年目の池田昌生だ。今季は同コンペティションで得点ランキングトップタイの4ゴールを挙げている。リーグ戦でも徐々に出場機会を増やしていくと、4-0で完勝した15節の川崎戦ではJ1初得点を記録。今、湘南で最も波に乗っているMFだ。
 
 番狂わせへの牽引車となった川崎戦に続き、今節のC大阪戦でも先発を飾ると、独特なリズムのドリブルからスルーパスで好機を演出。64分には際どいミドルシュートで会場を沸かせた(瀬川祐輔の頭に当たったため、公式記録ではシュート0本)。チームは0-2で敗北したものの、本人が「満足はしていないが、個人として最低限はできたと思います」と語るように、池田の働きぶりは上々だった。
 
 注目すべきは多彩なキックだ。ルヴァンカップで挙げた4得点中、3得点がミドルシュートによるもの。両足ともに高精度で、相手DFも的を絞りにくいはず。さらに基礎的な技術レベルも高く、視野も広いため、シュートフェイントからのスルーパスも脅威だ。
 
 池田の武器はもうひとつある。どのポジションでも起用可能なユーティリティ性だ。現在はインサイドハーフを主戦場としているが、湘南で初スタメンを記録した昨季のルヴァンカップ第1節・浦和戦では右のストッパーとして出場していた。

 その他、左右のウイングバックや2トップの一角としても起用できる。インサドハーフには永木亮太や山田直輝、茨田陽生や平岡大陽など、多くのライバルがいるが、中盤以外もこなせる池田は貴重な存在だろう。

 敗戦後も「悲観するような内容じゃなかった。連敗していた時とは違った、次につながる負けだと思います」と下を向かない。その姿勢がチームにもたらすものは大きいはずだ。
 
 ボックス付近で彼がボールを持つと、何かが起こるのではないかと思わせてくれる。今の池田は、それほどまでに期待感がある。

取材・文●岩澤凪冴(サッカーダイジェスト編集部)
 
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