【柏】 ステージ首位浮上の立役者。武富を支える“無心の極み”

2015年08月21日 小田智史(サッカーダイジェスト)

今季リーグ戦2点目のゴールは、チームプレーに徹した“ご褒美”。

4月の第1ステージ8節・川崎戦以来、公式戦20試合無得点だったが、待望のゴールはチームを勝利に導く貴重な一発に。写真:佐藤 明(サッカーダイジェスト写真部)

 好調のSB輪湖直樹が救急搬送されるショッキングなアクシデント(試合後、『脳震盪で大事には至らず』とクラブが発表)からわずか4分後、アカデミーの1学年後輩である武富孝介が大仕事をやってのけた。

【J1 PHOTOハイライト】柏 2-0 松本

 34分、ペナルティアーク付近でボールを受けると、左への切り返しで寄せに来た相手の逆を取り、迷わず左足を一閃。コントロールされたシュートはゴール前を固める松本の選手6人の間をすり抜け、鮮やかにネットに突き刺さる。決められたGK村山智彦が「(DFが複数いる状況でも)枠を捉えて決めてくる。さすがJ1の選手」と舌を巻き、「あの1点は、自分たちのサッカーをするうえですごく痛かった」と相手に大きなダメージを与える先制弾となった。
 
 第1ステージ8節の川崎戦以来となるゴール。「もともと深く考え込むタイプではない」と自己分析するように、公式戦20試合ノーゴールだった間もネガティブにならず、敢えて考えないくらい、チームのためにプレーすることだけを考えた。J1での自己記録にあと1点に迫る今季リーグ戦2点目のゴールは、その"ご褒美"だったのだろう。
 
「輪湖がいなくなって心配でしたけど、引きずり過ぎても良くないので、みんなで上手く切り替えて、もう一回しっかり(ゲームに)入っていこう、と。(シュートが)良いコースに行ったのはたまたま。でも、松本の中盤にスペースができるのは分かっていたし、試合前からミドルを打っていこうと思っていたので、良い形で点が取れて良かった」
 
 チームを暫定ながら今季初のステージ首位、3連勝に導いた立役者は、先制ゴールにつながった時間帯をそう振り返った。

次ページ「チームに貢献した覚えがない」と自虐的だった男は、いまやチームのキーパーソンに。

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