安定感抜群の守備といまだ機能しない攻撃【マドリー番記者】のシーズン展望

2015年08月20日 パブロ・ポロ

リーダーも残留した守備陣は強固! ライバルとは対照的だ。

長いシーズンを戦い抜く上で、守備の堅固さ、安定感は最も重要。この点で、マドリーは宿敵バルサをリードしている。写真は18日に行なわれたサンチャゴ・ベルナベウ・カップでガラタサライを2-1で下した後。 (C) Getty Images

 レアル・マドリーは今シーズン、新たなプロジェクトの下で始動した。
 
 最大の"変化"は、まずは監督が変わったことだ。それにより、カルロ・アンチェロッティ流メソッドから、ラファエル・ベニテス流メソッドへ――。プレシーズンを見ても、その変化は様々なところに表われていた。
 
 ベニテスが求めているのは、攻守にアグレッシブさを加えることだ。プレシーズンで、彼はそれを念頭に調整を進めてきた。アンチェロッティのチームは綺麗で泥臭さのないサッカーを展開していたが、ベニテスはそこに運動量や激しさを加えようと取り組んでいる。
 
 それでは、今シーズンのマドリーは勝てるのか? まずは楽観できる部分から見ていこう。
 
◇改革ではなく「継続」を選択
 
 ベニテスはチームにドラスティックな変更を加え、自らの"色"を際立たせるよりも、昨季からの「継続」を選んだ。現時点で先発が予想される11人は、以下の通りだ。
 
◎4−2−3−1システム
GK:ケイラー・ナバス(移籍が決まればダビド・デ・ヘア)
DF:ダニーロ(ダニエル・カルバハル)、セルヒオ・ラモス、ラファエル・ヴァランヌ、マルセロ
MF:トニ・クロース、ルカ・モドリッチ
2列目:ハメス・ロドリゲス(イスコ)、ガレス・ベイル、クリスティアン・ロナウド
前線:カリム・ベンゼマ(ヘセ・ロドリゲス)
 
 カルバハルとポジションを争うダニーロ以外の顔ぶれは、ほとんど昨シーズンと変わりはない。
 
 ベースができ上がっているからか、プレシーズンでは堅実さが目立った。失点数の少なさが、何よりもそれを物語っている。ライバルのバルセロナは欧州スーパーカップとスーペルコパ第1戦の2試合で計8失点。序盤戦で、この差が出るかもしれない。
 
 守備陣の安定は、マドリーの最大の強みである。
 
◇セルヒオ・ラモスの充実
 
 そんな守備陣において際立つのが、先日、2020年までの契約延長に合意したセルヒオ・ラモスだ。
 
 彼の残留は大きなプラスだった。移籍の可能性もあったが、仮にそうなっていれば、チームの守備力は大きく落ち、フロレンティーノ・ペレス会長はその信用を失っていただろう。
 
 またラモスは、リーダーとしても欠かせない存在だ。スーペルコパでの暴言で長期の出場停止処分を受ける可能性もあるバルサのジェラール・ピケに比べると、彼は心身両面ではるかに上を行く。
 
 このスペイン代表のふたりが、特に序盤戦の2強の明暗を分けることになるかもしれない。

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