“日本の宝石”中井卓大はマドリーのトップに昇格できるポテンシャルがあるのか。番記者に直撃「現時点で答えるなら…」【現地発】

2022年05月10日 セルヒオ・サントス

「恵まれた才能の持ち主であるのは間違いない」

現在はフベニールAが主戦場となっている中井。(C)Mutsu FOTOGRAFIA

 将来的なレアル・マドリーのトップチーム昇格が期待されているのが、現在はフベニールA(U-19相当)で研鑽を積む18歳の中井卓大だ。「ピピ」と呼ばれた少年時代から注目されてきた"日本の宝石"は、世界屈指のビッグクラブでのトップチームでプレーできるのか。現時点での可能性を、マドリーの内部事情に詳しい『AS』紙のセルヒオ・サントス記者に訊いた。

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 ナカイ(中井卓大)は2月にレアル・マドリーと2025年6月まで契約を延長した。それで何かを保証されたわけではないが、クラブの期待の裏返しではある。一つ確かなのは、トップチームはまだまだ遠い存在であることだ。

 例えばプレシーズンキャンプはカンテラの選手にとっては格好のアピールの場であるが、今夏のメンバー争いにおいてブルーノ・イグレシアスやフレン・オン・ゲレーロらに後塵を拝しているのが現状だ。

 ナカイが恵まれた才能の持ち主であることは間違いない。しかし今シーズンも殻を破れないまま終わろうとしている。マドリーのカンテラの関係者は、「技術的には素晴らしい。しかしプロを目指すにはプレー強度を高めなければならない」と語る。もっともこの指摘はここ数年、何度も繰り返しされてきたことだ。

 ナカイは今シーズン、エルナン・ペレス監督率いるフベニールA(U-19相当)に所属した。戦いの舞台は、同カテゴリー国内最高峰のディビシオン・デ・オノール。出場機会を得るには厳しい競争を勝ち抜く必要があったが、ナカイはスタメンとベンチを行ったり来たりした。

 一方、UEFAユースリーグとコパ・デル・レイ・フベニール(ユース国王杯)ではベンチスタートが続き、立ち位置的にはレギュラーよりも控えに近かった。コパ・デル・レイ・フベニール決勝のエスパニョール戦で、マドリーに優勝をもたらすゴラッソを決め脚光を浴びたが、その一戦もベンチスタートだった。

【動画】国王杯優勝を決める衝撃のゴラッソ!「魂を込めたシュート」と現地紙が絶賛した中井の豪快弾
 来シーズンのナカイの目標は、カスティージャ(マドリーB)で居場所を勝ち取ることだ。今シーズン限りでアントニオ・ブランコ、ミゲル・グティエレス、ラファ・マリンらチームを支えてきた主力がごっそり抜ける。

 フベニールAの選手にとっては大きなチャンスだが、不動の中心選手のイグレシアスをはじめ、ゲレーロラ、ファエル・オブラドール、マルベル、アルバロ・ロドリゲスに比べてナカイの今シーズンのパフォーマンスは見劣りし、現時点では昇格を保証されてはいない。
 

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