清水、内容的には善戦も結果は完敗。モヤモヤのなかで見えたJ1王者川崎との差

2022年05月08日 前島芳雄

感触的には大きな差は感じられなかったが…

清水は川崎にホームで0-2の完敗。J1王者相手に7年ぶりの勝利とはならなかった。(C)SOCCER DIGEST

[J1第12節] 清水0-2川崎/5月7日/IAIスタジアム日本平

 清水サポーターにとっては、かなりモヤモヤが残る試合だった。

 前節の湘南戦に4-1と快勝した清水。最大の課題であった得点力にようやく光明が見え始めていたなか、ACLから帰国後、最初のリーグ戦で、決して万全な状態とは言えないJ1王者・川崎に7年ぶりに勝利することが期待された試合だった。

 以前のように圧倒的に押し込まれる展開にはならず、シュート数は清水=5本、川崎=6本。チャンスの数でも引けを取らず、ボール支配率では相手に優位に立たれたものの、感触的には大きな差は感じられなかった。

 では、どこに勝敗を分ける差があったのだろうか。
 
 もっともわかりやすいのは、やはり決め切る力、守り切る力の差だろう。川崎の2得点は、シュートに至る過程が実によどみなくスムーズで、フィニッシュの精度と質も高かった。

 2点目を決めたマルシーニョが「ヤス(脇坂泰斗)がボールを受けた瞬間に、たぶんあのようなプレーをすると思って、信じてあの場所に入っていった」と振り返ったように、「この選手にこの形でボールが入ったら、こう来るだろう」という確信のもとに周りの選手が動き出している。先制点のシーンでも、家長昭博がボールを受けた瞬間に脇坂はフィニッシュの形をイメージできていたはずだ。そのあたりの練度は、やはりJ有数のものがある。

 だから、清水側から見れば"あっさり"と失点したように見える。それを防ぐには、戦術面の成熟度を高めるだけでなく、個々の対応力を上げる必要もあるだろう。

 逆に、清水の攻撃と川崎の守備の関係性はどうだったか。

「ボールを1回保持できれば、チャンス作る場面は作れていた」と白崎凌兵が語ったように、ポゼッションしながらでもカウンターでも、川崎のゴールに迫ることはできた。ただ、最後の壁はなかなか突破することができなかった。鈴木唯人や後半から入った神谷優太がドリブルで仕掛けても、決定的なパスやシュートに至る前に止められていた。

 川崎の守備について、右SBの片山瑛一は次のように印象を口にした。

「前のほうは守備に比重を置いてない選手が多いので、逆に後ろの選手の能力値というか、やる仕事量というのはすごく多いチームだと思います。そういうところで日頃から(守備能力が)高まっていると感じるので、僕たちもその能力値や自分の限界というものをより広げていくような練習とか試合内容という部分にもこだわっていきたいです」
 

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