「カマダは幸運を呼び寄せるヒーロー」指揮官や現地メディアが称賛する鎌田大地。フランクフルトをEL決勝に導けるか【現地発】

2022年05月05日 中野吉之伴

ブンデスリーガとELの戦い方の違いは?

敵地でのウェストハム戦で決勝点を挙げた鎌田。(C)Getty Images

 ブンデスリーガでは中位にいるフランクフルトがあと1試合でヨーロッパリーグ(EL)決勝にたどり着けるチャンスを手にしている。

 プレミアリーグのウェストハムとの準決勝ファーストレグを2-1と先勝したことで、大観衆のサポーターがバックに控えるホームでのセカンドレグでは、大きなアドバンテージをもって試合に臨むことができる。

 フランクフルトは2018-19シーズンに勝ち得た経験が大きい。「強い意志をもって全精力を引き出して立ち向かえば、あらゆることが可能なんだ」という経験が、間違いなく選手の力となっている。そして、この大会を心の底から楽しみ、心の底から勝ちたいと願い、心の底からチームを応援してくれるファンがさらなる力をもたらしてくれるのだ。

【動画】ELの週間MVPに選出! 鎌田が準決勝で決めた値千金の決勝ゴール
 フランクフルトのファンがロンドンで手に入れることができたチケットは3000枚。それでもロンドンまで飛んだファンは1万人以上いたという。たとえスタジアムで試合を見られなくても、その地まで渡り、可能な限り近くからチームのために声援を送るために。

 とはいえ、気持ちだけで勝てるほどサッカーは甘くはない。フランクフルトにはオリバー・グラスナー監督とともに築き上げた戦術がそこにはある。ウェストハムだけではなく、バルセロナといったヨーロッパのトップチーム相手に、相手の長所を消し去る術を見いだせているのは大きい。

 ブンデスリーガを見ていると、フランクフルトは自陣で戦術的に規律正しく守ってくるチーム相手にチャンスをうまくクリエイトできずに苦しむことが少なくない。そして不用意なボールロストからカウンターを許し、失点を重ねるというシーンが散見されている。

 ただ、ELでは立場が逆だ。相手がボールを持ち、フランクフルトが守りから入るという展開が多い。前線から相手のパスの出しどころを消しながら、誘導し、鋭い出足と妥協なきチャージでボールを奪取し、奪うやいなや素早い攻撃でゴールを強襲するという、自分たちの特徴を思う存分出せるかみ合わせになっている。
 

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