苦戦続く名古屋がフォーカスすべき問題は明確。“救世主”に名乗りを上げるのは? 結果への貪欲な姿勢が壁を破ることも

2022年05月04日 今井雄一朗

「本職のFWが結果を残せばチームも乗ってくる」

決定力不足に悩む名古屋。ただ、一つ決まればチームの歯車が噛み合うという状況でもあり、進捗として悪くないとも言える。(C)J.LEAGUE

 点取り屋と呼ばれる選手たちは世界的にも価値が高い。名古屋はいま、その理由を痛感しているのだろう。

 5月3日のJ1第11節、名古屋はホームで京都と対戦し、1-1の引き分け。前後半合わせて12本、チームの集計では18本のシュートを放ち、奪った得点はマテウス・カストロの直接FKのみである。

 守備は安定し、時にしっかり踏ん張りきり、攻撃の展開も悪くない。決定機もいくつも演出しているのだが、とにかくフィニッシュだけが締まらない。「施策はしているんですが」と長谷川健太監督が苦笑するのも無理はなく、不足しているのがある種の専門性のある作業なだけに、「本職のFWが結果を残す形になってくると、チームも乗ってくる。彼らの奮起を待ちたい」と指揮官がこぼすのも致し方なし。

 選手が頼りないというよりは、一つ決まればチームの歯車がカチっと噛み合うという状況であり、形よりもゴールの事実だけが名古屋の欲するところだ。

 2017年のJ2での対戦以来となる京都との一戦は、おおむね優位に進められてはいた。前半は相手の動きに対応することも多かったが、隙を見せたのは失点の場面ぐらい。それが問題だと捉えることは重要であり必要だが、それだけを捉えて全体的な優勢を見逃すのはまた違うだろう。
 
 警戒していたはずのピーター・ウタカに決められたのはディフェンスラインとしては痛恨でも、守備陣としてはしっかり対応はできていた。後半になって京都が選手交代によってパワーダウンしたところできっちり前に出て、いくつもの決定機を生み出しもした。

 だからこそ追加点を奪って勝点3を持ちながら試合を進めたかったが、そこで決める選手、決めるプレーが出てこないのが現在の名古屋の泣き所だ。後半に投入されたのが金崎夢生と酒井宣福だけという選手交代の経過は、そのポジション以外はマネジメントとして上手くいっていたという事実を浮かび上がらせる。

 本来であれば今季もエースとして期待されていたシュヴィルツォクの動向はいまだ明らかにならず、新規外国籍選手の獲得も噂されるなかで、しかし現状は今いる選手たちで戦い抜かなければいけない。試合前日、長谷川監督は「闘える土俵を作っておくのが重要」と語り、その意味では決定力不足が課題の現況は進捗として悪くないとも言える。
 

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