「日本が注意すべきは左サイドの守備」対戦国スペインの記者は森保ジャパンをどう見ている?「有能なアタッカーが多いがモリヤス監督は…」【現地発】

2022年05月03日 ルイス・ギジェルモ・モリネロ

ストライカーの不在という慢性的な課題

カタールW杯の第3戦でスペインと対戦する日本代表。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

 日本代表がカタール・ワールドカップのグループステージ第3戦で対戦するのが、欧州の強豪スペインだ。EURO2008、2010年南アフリカW杯、EURO2012とメジャートーナメント3連覇を成し遂げ、東京オリンピックでも日本の前に立ちはだかった技巧派集団に、森保ジャパンはどう立ち向かうべきか。『ラジオ・マルカ』のルイス・ギジェルモ・モリネロ記者に訊いた。

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 カタール大会は、日本代表にとって7大会連続7回目のW杯の舞台となる。森保一監督が指揮官に就任してから間もなく4年が経過し、それだけその戦い方には監督の色というものがはっきり表れている。

 日本は得点源となるストライカーの不在という慢性的な課題を抱え、現代表も例外ではない。そんな中、森保監督は現実的なアプローチでチームの競争力を高めようとしている。とはいえその一方で、昨今、久保建英、鎌田大地、古橋亨梧、伊東純也、南野拓実、三苫薫ら年々、欧州でプレーする才能豊かな日本人アタッカーが増えている。

 彼らを融合して攻撃的なチームの構築することも可能なはずだが、森保監督にはそうした冒険心はないようだ。近年、アンドレス・イニエスタ、ダビド・ビジャ、フェルナンド・トーレスがJリーグでプレーし、その影響もあり日本には攻撃的なサッカーを好む素地が生まれているだけに、この指揮官の現実主義スタイルはなかなか受け入れられないのかもしれない。

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 一方、スペイン代表は、前述の3人が主力を担っていたルイス・アラゴネス時代のコンセプトを土台に進化を遂げている。ルイス・エンリケ監督の下で世代交代が敢行され、細部を見れば戦い方はアレンジされているが、昨年のEUROで実証したようにW杯でも上位進出が期待できるチームが完成しつつある。

 日本にとって希望は、スペインが強固な守備ブロックを敷いてくる相手を苦手にしていることだろう。戦い方次第では日本にもチャンスが出てくる。ポイントとなるのはその守備ブロックの位置だが、スペイン相手にラインを押し上げるのは簡単ではない。

 自ずと自陣ゴール前に釘付けになる時間帯が増えそうだが、現在の日本には幸い、吉田麻也、冨安健洋という国際経験豊富な2人のCBがいる。スペイン代表のアルバロ・モラタは一線級のストライカー特有の怖さはなく、対等に渡り合うことは可能なはずだ。むしろ日本にとって注意すべきは、得点力に磨きをかけるフェラン・トーレスと1対1の対応に難がある長友佑都のマッチアップが濃厚な左サイドの守備だろう。
 

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