【バイタルエリアの仕事人】Vol.15 小野裕二|気持ちがこもったプレーを見せ続けて、タイトルの喜びを分かち合いたい

2022年04月30日 広島由寛(サッカーダイジェストWeb編集部)

「考えるスピード、頭の回転を速くしないと」

3年ぶりに鳥栖に復帰した小野。“自分たち主導のサッカー”を貫くチームで躍動感あふれるプレーを見せている。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

 攻守の重要局面となる「バイタルエリア」で輝く選手たちのサッカー観に迫る連載インタビューシリーズ「バイタルエリアの仕事人」。第15回は、今季から3年ぶりにサガン鳥栖でプレーする小野裕二。

 前編では、鳥栖復帰の背景や10番を背負う覚悟、途中出場が続く現状への率直な想い、敵陣ゴール前のプレーで意識していること、などについて語ってもらった。後編では、29歳のアタッカーのサッカーに対する思考や流儀をさらに掘り下げていく。

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 Jリーグでもサッカーが変わってきていますよね。昔はけっこう、ボールを横に動かしたりしていましたけど、今は縦に速くというか、スピーディにどんどん前に当てて、選手がどんどん出ていく。マリノスとか川崎とか、そういうチームがタイトル争いをしていますし。鳥栖が目指すサッカーも同じで、考えるスピードだったり、頭の回転を速くしないと、ついていけない。
 
 自分としては、ドリブルもできるし、周りを使うこともできる。そのすべてはゴールを取るためで、その回数を今シーズンはもっともっと増やしていきたい。個でゴリゴリ行くようなプレーが必要な時は、やらなければいけないと思います。とにかく、得点するために何がベストか。それを瞬時に判断して、実践することが大事。ただ、個人的には、もっとシュートを打つためのポジションを取ったり、もっと足を振ってみてもいいかなとは感じています。そこは今後、積極的にトライしていきたい。

 札幌戦(第7節/〇5-0)のアシストですか? あの時は、まず右サイドで(原田)亘が蹴ったボールを自分が競って落として、そこから左サイドに展開されました。自分も攻撃の選手なので、スプリントして中に入っていくのもひとつですが、あの時はFWの垣田(裕暉)も入っていって、相手の選手もゴール前に戻っていった。左サイドでキープしたジエゴはクロスを上げないと思ったし、右サイドにスペースがあったので、そこに留まっていました。

 そこに良いテンポで自分のところにボールがつながってきて、右サイドからのクロスを(中野)伸哉が押し込みました。クロスもそうですけど、ワンタッチ目のコントロールで良いところにボールが置けたんです。それで、ゴール前の様子が全部見えたし、垣田がニアに、その後ろに選手がいるのも確認できた。あとはクロスの質で、ふかさないように、垣田にも合うような、そこで触れなければ伸哉に合うようなボールを蹴りました。

 チームとして奪えたゴールだったと思います。右サイドの僕にテンポ良くつないでくれたのは、ピッチ中央にいた(福田)晃斗ですけど、晃斗がもうワンタッチしていたら、また違った展開になっていたはず。あのスピード感でボールを動かせたからこそ、生まれたゴールだったと思います。

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