「僕を嫌いなんじゃない。純粋な憎しみだ」ジャカが自軍サポーターとの“衝突”を回想「アーセナルとは終わりのはずだった」

2022年04月15日 サッカーダイジェスト編集部

「他クラブからの契約書がテーブルにあった。あとはサインするだけだった」

一昨シーズンのサポーターとの衝突を振り返ったジャカ。(C)Getty Images

 アーセナルのグラニト・ジャカは、2019年10月のクリスタル・パレス戦でサポーターと衝突し、一度は退団を決意した。そのときに目にした観客の顔に、憎しみを感じたという。その顔を、彼は今でも忘れていない。

 4月13日、ジャカは『The Players’Tribune』に寄稿した文章の中で、「荷造りはしていた。パスポートも出した」と、衝突から2か月後のことを振り返った。

「アーセナルとは終わりだった。終わったんだ。他クラブからの契約書がテーブルにあった。あとは僕がサインするだけだった。妻と話して、僕たちは去ると決めた。ミケル(・アルテタ監督)にお別れするだけだった。それで飛行機に乗るはずだった」

 クリスタル・パレス戦でファンと対立したことについて、ジャカは「ショックだった。このようなことは初めてだった。トンネルに近づき、座っているファンたちを見上げて…ずっと忘れない」と綴った。

「目を閉じれば今でもその顔が浮かぶ。彼らの怒りが見える。彼らは僕を嫌いなんじゃない。違う。これはヘイトだ。純粋な憎しみだ」

【写真】2年前のクリスタル・パレス戦でユニホームを脱ぎすて、サポーターに暴言を吐いてピッチを去るジャカ
 キャプテンを務める自分のチームのファンからのブーイングに、「リスペクトの問題だ。あの日、僕はとても無礼をされたと感じた。個人的に傷ついた」と述べている。

「確かに僕はアーセナルのキャプテンだった。でも、僕は人間でもあるんだ。だから人間としてリアクションをとった。僕がしたことは間違えている?そうだ。だが、明日また起きたら、違うようにやるか?正直それは分からない」

「あれほどの憎しみや無礼は、自分の最悪の敵にも抱きたくない。今でも、負けたらトンネルまでのあの数メートルを歩くのが嫌だ。まだ彼らの顔が分かるからね。同じ人たちがそこに座っている。だから今では頭を下げる。一度悪夢を経験した。二度と望まない」

 それほどの想いをしながらも、アルテタと話し合ったうえで、ジャカは残留を決めた。「頭はアーセナルから離れていた。だが、心は違った。心は『こんな風にこのクラブを去ることはできない』と言っていた」と続けている。

「今は自分が正しい決断をしたと分かっている。まだここにいるからだ。でも、ファンとの関係はずっと同じというフリをすることはできない。あの瞬間を忘れることはないからだ。割れたガラスのようなものさ。直すことはできても、ヒビはずっとそこにある」

 スイス代表MFは「イングランドには批判に恐れている選手がたくさんいると思う。僕は対処できるし、できなくなったらやめる。でも正直、スイスでプレーするほうが簡単だ。もっと愛を感じるからね。ミスをしてもOKだ。でもここでは?殺される。信じられない」と苦言を呈した。

「ある週は『すごく良いね!』と言われ、次の週は『あいつはクソだ』。だから選手たちは『今日はミスしたくない』と、安全にプレーするんだ」

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