「カマダはファンタスティックだ!」バルサ相手に躍動した鎌田大地。なぜファンは熱狂したのか【現地発】

2022年04月14日 中野吉之伴

ボールを逃がす局面において鎌田が果たした功績は大きい

バルサ相手にも持ち味を発揮した鎌田。(C)Getty Images

「フランクフルト」「ヨーロッパリーグ」といえば、名前が挙がるのが鎌田大地だ。

 一昨シーズンにアーセナル戦での2ゴールを含め、このヨーロッパの舞台で何度も華麗なプレーを披露。今シーズンも同大会との相性は非常によく、ここまで4ゴールをマークしている。

 世界的トップクラブのバルセロナとの準々決勝ファーストレグでも、ファンを熱狂させるプレーを連発した。

 この日、オリバー・グラスナー監督は、鎌田を3-4-2-1の2シャドーの左で起用。対バルセロナ対策として「コンパクトな陣形から高いインテンシティでプレスに行き、ボールを奪ったら素早い攻撃がカギになる」と試合後に語っていたが、鎌田と逆サイドのデンマーク代表FWヤスパー・リンドシュトロームには守備でのハードワークも求められた。

【動画】鎌田大地が躍動したバルセロナ戦のハイライトをチェック
 フランクフルトにとって、守備時に中盤センターのスペースをうまく消すことで、バルセロナペースで試合をさせないことがポイントだった。CFのコロンビア代表ラファエル・ボッレが特にバルセロナのキーマンであるセルヒオ・ブスケッツへのパスを警戒しながらポジショニングを微調整。相手CBが少し前へボールを運んできたら、そこへのパスコースを切りながら前に出る。

 それに応じて鎌田かリンドシュトロームが反対サイドのCBへの距離を詰め、SBへのパスを誘う。ウイングバックが鋭く寄せるのと同時に、両サイドのCBが同サイドのウイングのマークへ。

 ボールがSBへ展開されたら、鎌田かリンドシュトロームが素早くスライドし、それに呼応して他の選手も素早くマークを受け渡しながら、相手へプレスを連続でかけていくというのが狙いだった。

 そしてボールを奪ったら素早く攻撃に、といきたいわけだが、バルセロナもそこを抑えたいのは当然のこと。ボールロスト後、すぐにカウンターの起点を抑えにはきていた。ただそれをうまくかいくぐることにこの日のフランクフルトは成功した。

 グラスナー監督は「バルセロナのゲーゲンプレスに対して、上手くそこから抜け出すことができた。1、2タッチで素早くパスを回し、そこから縦へ。うまくいったと思う」と振り返っていたが、ボールを逃がす局面において鎌田が果たした功績は大きい。

 無駄を恐れず相手最終ラインの裏のスペースへ何度も飛び出しただけでなく、得意の2ライン(DFとMF)間でパスを引き出す動きで、自身を経由させることにより、攻撃をどんどんスピードアップさせていった。

 この日の鎌田は研ぎ澄まされていた。状況認知から決断までの思考プロセススピードが極めて速いのだ。動きが速いというだけではない。プレスに来る相手の裏を取って巧みにスペースへとスッと持ち出していくのだ。
 

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