開幕8戦未勝利の神戸、新指揮官の初陣で見えた復調の兆し。先制点に“リュイス・イズム”が集約されていた

2022年04月03日 白井邦彦

京都戦は監督の采配が見事に的中

神戸は京都に1-3で敗れ、開幕から8試合未勝利。このリュイス監督の初陣を勝利で飾れなかった。(C)J.LEAGUE PHOTOS

 ヴィッセル神戸は4月2日、J1リーグ第6節で京都サンガF.C.と対戦。このカードはJ1で12年ぶりに実現した。

 試合はホームの神戸が49分に初瀬亮のJ1初ゴールで先制するも、55分と58分に失点し、逆転される。さらに終了間際の90+4分にも追加点を決められ、1-3の敗戦。これで開幕8試合白星なし、京都に開幕戦以来となる今季2勝目を献上した。

 リュイス・プラナグマ監督の初陣を勝利で飾れなかった神戸だが、復調の兆しは随所に見られた。

 変更点としてはまずフォーメーションが挙げられる。以前の4-4-2の中盤ダイヤモンド型から、今節のスタート時は4−2−3−1に変更。サプライズとしては右サイドハーフに初瀬、左サイドハーフにボーシャン・クルキッチを起用した点だ。リュイス監督はその意図をこう説明している。
 
「怪我人が多く、右サイドで縦への突破力を持っている選手が欠けているなかで、亮(初瀬)は縦への突破力を持っている。(中略)京都の左SBは、アグレッシブにプレスに来るタイプなので、高徳(酒井)と亮を使ってサイドで1対1を作るようにと考えていた。また、ボージャンを左に入れたのは攻撃面で左からサコ(大迫勇也)のサポートをしてもらい、フィニッシュの局面でゴールに近づいてもらおうと思った」

 49分の先制点が、ボージャンのドリブルと初瀬の攻め上がりから生まれたことを思うと、監督の采配が的中したと言える。そしてこのシーンに"リュイス・イズム"が集約されていると考えられる。

 左SBに入った小林友希がボールを失った瞬間、山口蛍が即座にプレスをかけて奪い返し、初瀬がこぼれ球を拾ってアンドレス・イニエスタとのパス交換で相手のプレスを回避。ここから左サイドに展開し、これを受けたボージャンがドリブルで相手DFを混乱させ、中央に走り込んできたイニエスタへ横パスを入れる。京都DFの処理ミスでボールが右へ流れると、初瀬が拾ってゴールへとつなげた。
 

次ページポイントは“初瀬のポジショニング”と“ボージャンのドリブル”

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