【U-21代表|ドバイカップ総括】“タフに戦う”を体現し3連勝で大会制覇。セットプレーでも確かな成果

2022年04月01日 松尾祐希

方向性を示し、力量を見極め、場慣れするためにも

全3試合で完封勝利。苦しみながらもタフに戦い抜いたU-21戦士がドバイカップで優勝を飾った。(C)JFA/PR

 パリ五輪の開幕まで約2年5か月。U-21日本代表にとって、残された時間は長いようで短い。大岩剛監督が就任したのは昨年末。初めての活動も今年3月で、今回参戦したドバイカップU-23が初の海外遠征だった。

 新型コロナウイルスの感染拡大によって、海外で国際試合をあまり経験していない点は、パリ五輪世代の不安要素。残された期間を有効に使いながら、急ピッチでチームを仕上げていかなければならない。

「海外遠征の場は貴重。この2年間の空白を考えると特にそう」。大会前に大岩監督が話していた通り、一つひとつの活動機会が重要になる。今回の海外遠征は、チームの方向性を示すためにも、選手の力量を見極めるためにも、場慣れするためにも重要だった。

 ドバイカップは、東京五輪世代も2018年11月に参加したことがある大会。10チームで争われたコンペディションは2試合の予選と順位決定戦で争われ、大岩ジャパンは3試合連続完封勝利で頂点に立った。

 大会を振り返ると、指揮官が掲げていた"タフに戦う"というテーマを実行できたように思える。

 1−0で勝利したU-23クロアチア代表との初戦は、相手のスローテンポなサッカーに付き合ってしまい、前半は停滞。久々のアウェーでの国際試合で硬さが見られ、トレーニングで積み上げてきたビルドアップもうまくハマらなかった。
 
 だが、ハーフタイムに大岩監督の檄によって、チームは本来の姿を取り戻して、最終盤に途中出場のFW小田裕太郎(神戸)が先制点。その後はよりタフさが求められる展開となり、相手に退場者が出た直後に小田が負傷。交代枠を使い切っていた影響から10人で戦うことに。

 さらにDF内野貴史(デュッセルドルフ)も止血で一時的にピッチの外に出てしまい、数的不利な状況で戦うことを余儀なくされた。

「やっぱり環境が変わったので、トラブルは増える。そのなかで自分たちが終盤に1点リードというのを認知していた。最後はサイドで『時間を使いながら』という声がベンチから出ていたので」とはMF藤田譲瑠チマ(横浜)の言葉。タフさが求められるなかでも、うまくゲームをコントロールして、最後まで相手に得点を許さなかった。
 

次ページ過去2戦の反省を踏まえ序盤からギアを上げる

みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事