【バイタルエリアの仕事人】Vol.14 青山敏弘|「もう一度Jリーグで勝負できる選手に…」プロ19年目のワンクラブマンを支えた武器と恩師の教え

2022年03月30日 長沼敏行(サッカーダイジェストWeb編集部)

「この数年の自分のプレーには到底納得していませんでしたし、理想からは程遠かった」

広島一筋でプロ19年目を迎えた青山。Jリーグきっての熟練ボランチだが、現状に甘んじることはまったくない。写真:滝川敏之

 攻守の重要局面となる「バイタルエリア」で輝く選手たちのサッカー観に迫る連載インタビューシリーズ「バイタルエリアの仕事人」。第14回は、サンフレッチェ広島で今季19年目のシーズンを迎えている青山敏弘だ。

 3度のリーグ制覇を達成したチームを支え、15年にはリーグMVPを受賞。日本代表として2014年のブラジル・ワールドカップにも出場した熟練ボランチは、まだまだ自身の成長に貪欲だ。現在の目標は「もう一度Jリーグで勝負できるプレーヤーになる」ことだという。

 今季、チームはリーグ5試合を終えて勝利がなく、自身もスタメンの座を奪い返そうともがく日々だが、それでもスキッベ新体制の現状の戦いぶりには手応えも感じている。「今のサッカーに対して僕自身、楽しみにしている」と語る"ワンクラブマン"の真意とは?

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 今季はまだ勝利がありませんが、いまはチームが変わっていく途中だなというのを感じています。間違いなく良い方向に。(3月に入って)スキッベ監督が合流して練習内容も大きく変わった。練習の強度はキャンプから変わりませんが、守備面では監督の意図が反映されて整理されてきたし、攻撃面ではボールを浮かさずに足もとでしっかり繋ぐことを大事にするので、そうした部分は前進し始めたなという感じですね。

 試合内容でもボールを保持して縦へのスイッチが入った時に、シャドーにボールが入るようになってきたし、そういう意図を持ったボール回し、ビルドアップは効果的にできています。ゲーム展開を考えても勝ってもおかしくない試合はできているので、あとはブレずに今のまま点を獲って勝てるチームにすることが必要だし、質を上げていけば実現できる。

 いまは新しいスタイルをつくり上げている途中で、特に大きく変わったのは長いボールがほとんどなくなりましたし、より中を使って攻撃する意識も高まっています。このスタイルがより進化して、さらに勝負強さが出てくれば、誰もが好きになってくれるのではないでしょうか。

 自分としては、今のサッカーの中でもっとクオリティを上げていかないといけない。(スタメンで出るためには)間違いなくそこは足りない。ただ、今のトレーニングを続けていけば、必ず上手くなると思うし、レベルアップできると感じています。やはり、この数年の自分のプレーには到底納得していませんでしたし、理想からは程遠かったと思います。

 内容の濃い練習で高いクオリティを目指せていることは実感できているので、個人的にももう一度Jリーグで勝負できる、トッププレーヤーになることを目指したい。もちろん、チームとしても高いレベルに到達しなければなりませんが、いまは全員がそこへ向かって集中してやれていると感じていますよ。

【2015プレーバック】広島が3度目のリーグ制覇! 青山敏弘がMVPに輝く

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