カタールW杯本大会への重要な一歩となるベトナム戦。東京五輪世代の大量抜擢はあるか?

2022年03月28日 元川悦子

ベトナム戦からは新たなステージに突入

豪州戦では途中出場から好プレーを見せた上田。ベトナム戦で起用されれば、今度こそ目に見える結果を残したい。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

「今回の最終予選は親善試合が全然できなかったので、できればもっと多くの選手にピッチに立ってもらって、チームの底上げをしながら試合に向かって行きたかった。次はそれをやって、ワールドカップ(W杯)の準備をしていきたいと思います」

 3月24日のオーストラリア(豪州)戦を2-0で勝利し、8か月後に迫ったカタールW杯本大会の切符を手にした日本代表。森保一監督が今後に向けてこう語った通り、29日の最終予選ラストマッチ・ベトナム戦からは新たなステージに突入する。最終登録23人を賭けたサバイバルが本格化するからだ。

 これまでは、30代の長友佑都(FC東京)、吉田麻也(サンプドリア)、大迫勇也(神戸)、酒井宏樹(浦和)らW杯経験者を軸に戦ってきた日本代表だが、今後は彼らも安泰とは言い切れない。

 長友の左サイドバック(SB)であれば、中山雄太(ズウォーレ)が存在感を高めているし、吉田のセンターバック(CB)には負傷中の冨安健洋(アーセナル)や豪州相手に的確なカバーリングを見せた板倉滉(シャルケ)が控えている。

 右SBには今回招集されていない橋岡大樹(STVV)や菅原由勢(AZ)という欧州組がいるし、FWも上田綺世(鹿島)、林大地(STVV)、今回不参加となった前田大然(セルティック)が虎視眈々と定位置をうかがっている。「気づいてみれば、本番は東京五輪世代がズラリと並んでいた」といった事態も起こり得るのだ。

 そこで気になるのが、次戦のベトナム戦。森保監督がどのような面々を起用するか非常に興味深いところだ。
 
 今回は遠藤航(シュツットガルト)と板倉がすでにチームを離脱。ここまで出ずっぱりだった伊東純也(ヘンク)や南野拓実(リバプール)も控えに回ると見られる。指揮官が予選6連勝の原動力となった4-3-3の布陣を引き続き採用するのか、それとも4-2-3-1、3-4-3など別の布陣をトライするのか未知数だが、最終予選で実績の少ないメンバー構成でベトナムと対峙することになりそうだ。

 まず注目されるのが最前線。ここは上田のスタメンが有力視される。豪州戦では63分から途中出場。今季の鹿島で見せているような鋭く素早いモーションからシュートを放つなど、ゴール前の迫力と凄みを感じさせた。

 大迫のように前線でタメを作る仕事は得意としていないが、彼を生かす術を見出し、前線のバリエーションを広げることができれば、チームにとってもプラスになる。

「後半25分のシュートは枠に入らなかったけど、ああいうのを決めないといけないし、本数や動き出しの回数も増やしていかなければいけない。ベトナム戦では『俺はこういう選手なんだ』というのを表現できるように、結果にこだわっていきたい」と本人も意欲を新たにしていた。東京五輪で負傷明けの自分自身をごぼう抜きして定位置を勝ち取った林が後ろに控えているだけに、上田には目に見える結果がより強く求められる。

【PHOTO】三笘、久保、上田らスタメン入りに向けてアピール!トレーニングを続ける日本代表!
 

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