先制点奪取の“川崎トリオ”を支えた選手たち。原口元気、伊東純也、上田綺世の効果的な動き

2022年03月26日 河治良幸

彼ら3人の“阿吽”だけで完結したわけではない

三笘とともに途中出場した原口。的確な配球で先制点を演出した。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

[カタール・ワールドカップ・アジア最終予選]日本 2-0 オーストラリア/3月24日/スタジアム・オーストラリア

 日本代表は敵地でオーストラリア代表に歴史的勝利。カタール・ワールドカップの本大会出場を決めた。日本を勝利に導いたのは三笘薫の2ゴール。個人技を生かした突破からの2点目も見事だが、やはり決勝点となった89分のゴールは、勝点1も視野に入ってくる状況で、点を取って勝ちに行く姿勢が押し出されたゴールだった。

「ウイングで久々にやりましたけど、幅を取ってボールを受けるまでに良い形で配球してくれますし、右サイドで時間を作りながら崩してくれて、駆け引きというか、マイナスのところにスペースがあったので、うまくそこに走り込めたと思います」

 三笘がそう振り返るゴールシーンのメインキャストとなったのは"川崎勢"の3人。一人はもちろん三笘、そして守田英正、山根視来だ。彼らが川崎時代に培ったコンビネーションがそのまま生かされたことは、アシストした山根の証言を聞けば明白だ。

「横目で守田と目が合ったときに、彼は隠れてたんですけど、絶対に前に入ってくるという確信があったので。感覚だけでアウトで出して、当てて入って行くという川崎からずっとやってたことを表現した」

 右サイドでボールを持った山根は、浮き球のパスをボックス内の守田に預けると、そこから斜めに走ってスペースでボールを受ける。そしてラインのギリギリで厳しい体勢から中にグラウンダーのクロスを入れると、三笘が左から走り込んで合わせた。

「クロスに関しては、薫が絶対にあそこにいると思っていたので。無理な体勢でしたけど、無理やり上げて、薫が決めてくれたので。去年、一昨年と一年間、薫とやりましたけど、あいつが入るポイントと僕が上げるポイントは意思疎通がずっとできていたので、それが点につながって良かったと思います」
 
 3人それぞれが空いてくるスペースと入ってくる味方のイメージを共有することで、素晴らしいコンビネーションを完結させた。守田も「角のところのボックス付近の攻略は一番、相手にとって嫌なので、視来君からボールが入ることはもう分かってました」と振り返る。

 ただ、このゴールは決して彼ら3人の"阿吽"だけで完結したわけではない。このゴールに関わった原口元気、伊東純也、上田綺世の効果的な動きを解説する。

 このゴールの起点となったのは、やはり三笘だった。日本はオーストラリアのロングボールを跳ね返すと、自陣の左サイドでボールを拾った三笘が縦にボールを運ぶ。相手のディフェンス二枚を引き付けてバックパスを選択すると、ボールを受けた原口が中央のスペースを横切り、かなりインサイドで伊東にパスを出した。

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