【インターハイ準決勝】東福岡 5-2 立正大淞南|ムービングスタイルの毎熊晟矢が目指す“赤い彗星”の新たなCF像

2015年08月09日 安藤隆人

例年のポストタイプとは一線を画するスタイル。

敵陣を突破する東福岡の毎熊。ゴールこそなかったが、獅子奮迅の動きでゴールを演出した。写真:佐藤 明(サッカーダイジェスト写真部)

 東福岡伝統の4-3-3。3トップの真ん中に君臨するCFは、これまで2年前の木戸皓貴(明治大)、昨年の木藤舜介(立命館大)のように、屈強なフィジカルを持ち、競り合いに強く、ポストプレーと強烈なパンチ力を持ったストライカーが多かった。しかし、今年の東福岡のCFは少し違う。

【PHOTOギャラリー】東福岡×立正大淞南
 
「僕は動きながらプレーするのが得意で、個で打開するというより、周りを使うのが得意なんです」
 
 毎熊晟矢のスタイルはムービングアタッカー。前線でボールを集約するのではなく、動いて選手間の距離を近づけ、ワンタッチパスやフリーランニングでスペースワークをするタイプだ。これまでのCFとはタイプこそ違うが、その存在が今年のチームのサッカーを活性化させているのだ。
 
 今年のチームの看板は、藤川虎太朗と中村健人の2シャドー。彼らはワンタッチプレーを得意とし、質の高いパスとランニングで攻撃に違いを生み出す。さらに三宅海斗と橋本和征の両ワイドも、昨年の増山朝陽(神戸)のようにワイドに張って仕掛けるタイプではなく、ワンタッチプレーを好む選手たち。
 
 だからこそ、CFの毎熊が相手ディフェンスラインの前や間で流動的に動くことで、連動した2列目がバイタルエリアに前向きに侵入できる。結果、お互いの距離間が近くなると同時に、バイタルエリアでトライアングルを作って、ワンタッチプレーを多用しながら、相手を崩してシュートまで持って行くことができている。
 
 準決勝の立正大淞南戦、この試合でも毎熊の動きが相手守備陣を混乱に陥れた。「相手のCBは僕が中盤に落ちても食いついてこない。なので、僕の前にスペースができて、前を向いて仕掛けられるし、相手のアンカーにも牽制することができた」と語ったように、立正大淞南のアンカー・吉田海都に自由を許さず、かつ最終ラインとボランチのスペースを有効活用した。

次ページ春先のプレミアリーグでチャンスを掴みスタメンの座を掴む。

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