「娘や家族がいなければ僕も…」ウクライナ代表MFが胸中を激白。ロシアの選手には怒り「何を恐れているんだ?」

2022年03月05日 サッカーダイジェストWeb編集部

「自分が生まれ育った場所を想像してみてくれ」

ジンチェンコが苦しい胸の内を明かした。(C)Getty Images

 マンチェスター・シティのウクライナ代表MFオレクサンドル・ジンチェンコが、英公共放送『BBC』のインタビューに応じ、苦しい胸の内を明かした。

 ロシアからの侵攻を受け、日々被害が拡大しているウクライナ。1日のピーターボロ戦(FAカップ5回戦)では、キャプテンを任された25歳のレフティは、「イギリス時間の深夜、妻が僕を起こし、泣いていた」と、母国へ侵攻が始まったことを知った経緯について、こう語る。

「ショックだったよ。妻はビデオや写真で、ウクライナで今何が起きているかを教えてくれた。多分、最も胸が締め付けられる瞬間は、自分の周りの誰かが死んでいくときだ。この感覚は本当に嫌なものだよ。でも(実際問題)これはもっとひどいことなんだ」

 開戦から1週間が過ぎ、「ただただ泣くばかりだ。練習場から車で出る時でさえ、何もないところから涙が出る。自分が生まれた場所、育った場所を想像してみてくれ。そこには何もない地面があるだけだ」と無念を訴えるジンチェンコは、友人も含め多くのウクライナ人がロシアと戦うために残り、海外在住の人々も帰国するなか、自身も「娘や家族がいなければ、そこにいただろう」と明かしている。
【画像】シャフタール公式インスタグラムが公開した母国ウクライナの惨状
「ウクライナ人であることを誇りに思うし、これからもずっとそうだろう。国民を見ていると、いかに命をかけて戦っているかがわかる。僕は国の人々のメンタリティを知っている。彼らは死を厭わず、実際に死んでいく。しかし、彼らはあきらめない」

 ロシア代表のキャプテン、アルテム・ジューバ(ゼニト)は先日、インスタグラムでついに沈黙を破るも、侵略反対の声を上げることはなかった。こうしたロシアの選手たちの姿勢にジンチェンコは失望を隠せない。

「彼らはインスタグラムやフェイスブックなどで、多くのフォロワーを抱えており、この戦争を止めるために何かすることができる。国民は彼らの声を聞けるのだから。彼らが恐れていることはもう知っている。でも、何を恐れているんだ? 彼らは何もするつもりはない。少なくとも自分たちの立場を表明することはできるのに、それを無視するんだ。なぜなんだ?」

 シティは6日に宿敵マンチェスター・ユナイテッドとの大一番(プレミアリーグ第28節)を迎える。ジンチェンコは、その勇姿で母国に少しでもエールを届けられるか。

構成●サッカーダイジェストWeb編集部

次ページ【画像】シャフタール公式インスタグラムが公開した母国ウクライナの惨状

みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事