日本高校選抜の“中心”にいた前橋育英2年生ボランチの分析眼。強豪大学勢相手にも能力の高さを証明

2022年02月24日 安藤隆人

コンビを組む相手の特徴によってプレーの選択を変えられる柔軟さ

U-17日本高校選抜でボランチを務める徳永。攻守両面でチームを支える役割を担う。写真:安藤隆人

 常にチームの中心には彼がいた。U-17日本高校選抜において屋台骨を担ったのが、ボランチの徳永涼だ。

 名門・前橋育英では昨年から絶対的エースナンバーの14番を背負い、攻守の中枢をになったエリートは、高校選抜においても14番を背負うと、駒澤大、拓殖大、桐蔭横浜大の3連戦で眩い輝きを放ってみせた。

 攻撃面では正確な長短のパスを駆使してタクトを握り、守備面では強烈なプレスバックと狙いすましたインターセプトで存在感を発揮。プレー以外でも「徳永は本当に苦しい時に腹から声を出して周りを盛り立ててくれる」と蒲原晶昭監督が目を細めたように、劣勢に立たされた時は大きな声で仲間を鼓舞し、的確なコーチングで常にチームの先頭に立ち続けた。
 
 徳永は右足のキックに加え、状況把握力と情報処理能力に長けた非常に頭の良い選手だ。常に全体を見渡しながら、適正ポジションを取ってボールの経由地になったり、全体の距離感のバランスを整える。その上で彼がこの3連戦で最も能力を発揮した部分は、ボランチコンビを組む相手の特徴に合わせて自分のプレー選択を柔軟に変えられるところであった。

「コンビを組む選手によって自分が求められるプレーが変わってくると思うので、そこをどう使いたいのか、相方を活かすにはどうすればいいかなど黒子の部分も含めて、バランスをとりながらやっていきたいと思います」

 実際に今回の合宿では主に廣井蘭人(帝京長岡)、真田蓮司(東山)とコンビを組んだが、「蘭人と組む時は僕がなるべくボールをキープしたり後ろでバランスをとることで、彼の持つスルーパスやラストパスをより効果的な位置で発揮できることを考えました。蓮司はボールを失わずに前に運べるので、そこを生かして彼が時間を作る間に僕が前目のポジションを取るなどしてバランス良く攻撃に関わることを意識しています」とそれぞれのタイプを分析して、チームとして双方が生きる道を模索しながらプレーした。

 桐蔭横浜大との試合では1本目に廣井と組むと、徳永は後ろ目にポジションをとって廣井が前に出た時のスペースを埋めたり、CBと連動してプレスを仕掛けるなど守備面で奔走。2本目で相棒が真田に変わると、今度は積極的に前に出て、小林俊瑛(大津)と福田秀人(米子北)の2トップに積極的に絡んで攻撃を活性化させた。

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